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Weekend In 心は L.A.

音楽と楽器、そして時々海外に

 

Still A Friend Of Mine(1993) by Incognito

インコグニートってどんな意味?
このバンド名を聞いた人は、私を含めて最初に思う疑問でしょう。「匿名」という意味だそうです。日本語でも匿名なんて言葉を使う機会は少ないから、ピンとこなくてもしょうがないですね。

イギリスで1981年に結成されたアシッド・ジャズバンド。といっても最初の10年間はほとんど日本で知られていなかったので、日本では1991『インサイド・ライフ』から2000年代にかけてが最盛期だったでしょうか。もちろん今でも大御所として人気はありますが。

Wikiで使われていたアシッド・ジャズバンドという呼び名をあえて使ってみたのですが、少し抵抗があります。「アシッド・ジャズ」というと、70年代後半から80年代に一世を風靡した「フュージョン」が縮小再生産の悪循環にはまり飽きられてきた1990年代に、新たな潮流として生まれたジャンル。

日本で有名どころとしては、ジャミロクワイあたりが筆頭でしょう。
ファンクっぽいといっても第1世代のジェームスブラウンあたりと比べると、フュージョンの時代を越えているので、演奏力が桁違いに高い。そもそもブルースと初期ロックしかなかった60年代~70年代初めと比較する方が間違っています。最初は、ジャズが付いているので、ジャズの派生かと思ったのですが勘違いだったようです。まあジャンルの名前なんて、レコードショップが棚を整理する必要のためにあるようなもので、何ら気にする必要はないと思っていますが。

私などのフュージョンど真ん中世代からみると、一言でいうと、ボーカル×(ファンク+フュージョン)/2 という粋な演奏を、洗練されたポップな味付けをした音楽という感じがします。
(全然一言ではないな。)
タワーオブパワーをずっと洗練しかつ一般受けするようにしたサウンドと言ってもいいかも。インストサウンドを突き詰めると、どうしても平均的音楽ファンから乖離して、クラシックやジャズのようなマイナーな世界に入ってしまうので、1周回ってボーカル主体の音楽にもどってくるのは面白いです。


Billboard Tokyo

もう一つ、インコグニートはバンドというよりも、リーダーでギターのJean-Paul“Bluey”Maunickが、その時その時で結成するプロジェクトと呼んだほうがふさわしい。CD毎にメンバーはくるくる変わっていくし、しかも非常に多作なバンドなので、どの曲で誰が演奏しているのか、何枚か聞いていると段々どうでも良くなってきます。

Jean-Paul“Bluey”Maunickは、ギタリストだけでなく、他人の音楽作品をプロデュースしたりと幅広く活躍している人で、おそらくプレイヤーというよりプロデュース指向が強い人なので、同じメンバーで作品を作りこむということにほとんどこだわりがなく、その時その時のやりたいことにマッチするメンバーを集めてサウンドを作るというやり方が好きなのでしょう。少し前に、サンタナがこういう指向です、とこのブログに書いたことを思い出しました。

ところでなぜ急に Still A Friend Of Mine?
個人的な話になるのですが、彼らが全盛の90年代は、公私ともども一生で一番忙しかった時期で、10年位ギターもまったく弾かなくなりました。音楽も新しいものを探して聞く余裕が全く無く、昔のフュージョンをたまに聞く程度で。
ということで、インコグニートの初期の名曲、Still A Friend Of Mine(1993)を始めて聞いたのは21世紀に入ってからでした。単身赴任して、夜が暇になって、音楽と楽器を再開したころだったかな。

やはり21世紀だ、いつの間にかにこんなお洒落な音楽が出来たのかと感心して聞き、CDを買おうとして調べたら10年前のリリースだったことを知りました。あの時は一人で恥ずかしかった。まるで、プリーズプリーズミーっていい曲だよね知っている?と、ビートルズが解散したのも知らずに友人に自慢する昔の中学生みたい。


Still A Friend Of Mine INCOGNITO

この曲、オリジナルももちろんいいですが、YouTubeで見つけたライブ演奏が非常に良かったので、それを紹介しておきます。ベースが凄くいいですね!
楽曲の1コマ分析として、イントロのコード進行をあげてみます。



YouTube音源でいうと、ベースが入ってからの8小節です。最初に聴いた時はなんて綺麗な進行なんだと驚きました。
あえて解説すれば、最初の小節はKey=A、次の小節はKey=G と転調していると考えられます。なんとなくコードを眺めると、DとCの間を転調しているのかと思うけど、実はサブドミナントから降りてくる進行だというところが面白いですね。
このコード進行をある程度のテンポで演奏されると、2小節目と4小節目の頭でふっと肩透かしをくわされたような感じになり、それが快感になる。

今では、J-Popはおろかその辺のゲームミュージックでさえ使われているコード進行ですが、最初に聴いた時はちょっと感動。ポピュラーミュージックの歴史の中では、どの曲がオリジナルなんでしょう、この進行。まさかStill A Friend Of Mineじゃないでしょうね。

インコグニートのコピバンをほとんど聞いたことがないのですが、そのうちやってみたいな‥‥‥


I Talk To The Wind(1969) 50年の時を経てReprise

Composed by Ian Mcdonald , Lyrics by Peter Sinfield

本ブログに立ち寄ってくれる方は相当の音楽好きな方が多いと思います。「I Talk To The Wind」と聞いただけでピンと来る方が83%位はいるでしょう。今さらかよ、という感想の方も多いでしょうね。
突然この曲を持ち出したのは、1週間前にあるものを発見をしたからです。
まず17%の方に。この曲は、いまだKing Crimsonのテーマソングとなっている1stの1曲目「21st Century Schizoid Man」の次の曲で、混沌の嵐の後にくる安らぎのチューン。


Saint Olaf’s Church, Tallinn, Estonia 2018.8

実はこの曲、オリジナルチューンの他に、Judy Dybleがボーカルをとっている別バージョンが相当有名で、"A Young Person's Guide to King Crimson"(1976)というベスト盤にもこちらが収められているほど。(その他に、Giles, Giles & Fripp の未発表音源バージョンなんていうのも出てます。もっともアレンジは、ほぼJudy Dyble版と同じですが。)
オリジナルの、まったり夢見ごごちの曲調もいいのですが、Judy Dyble版はもう少しさわやかでフォーキーな曲調。実は、私はこちらを先に聞いてしまったので、このバージョンが絶対に一番だったりします。スネアの刻みにのった、Judyの少し物憂げなボーカルが何とも言えない。

まずこの曲のオリジナルバージョンを張り付けておきます。(もちろんJudy Dyble版)
著作権上の問題にならないよう一部抜粋です。





I Talk To The Wind (Judy Dyble版)

歌詞は、単語は簡単なので中学生の時に一生懸命訳しましたが良くわからず。プログレの歌詞は、良くわからないどころか解釈困難、意味不明の方が偉い、という価値観がありましたから、当時。
私は、歌詞について深く考えるタイプではないのですが、歌詞和訳のブログを覗くと、暗喩の解釈などいろいろな記事があり興味深い。ひたすら韻を踏んでいるところなど、いかにもPeter Sinfieldらしい歌詞だと思います。
で本題。1週間前にYouTubeをさまよっていると、この曲のカバーを見つけました。


The chang-moz I Talk to the Wind

これは驚きました。こう来たかと。プレイヤーは以下の3人。
Keyboard & Vocoder:橋元成朋、Drums:大光ワタル、Guiter:郷家儀行

カールパーマー的ロールが時々入るドラミングに、深いディストーションをかけてプレイするギターもクールですが、なんと言ってもキーボードアレンジとプレイが素晴らしい。この曲のライブ音源がいくつかアップされていましたが、私はこの音源が一番好きでした。

大活躍のキーボードプレイは、右手でボコーダーとパッド系及び矩形波のソロ。左手でバックのコーラス。ベースがいないので多分右足でペダルベース。イントロから通奏低音のように続くピコポコパコ‥‥という音は WaveStation なのかと思いましたが、他のライブ映像を見ると、シーケンサーでフレーズを作ってOn-Offコントロールをしてるようです。
普通は、キーボードをどう鳴らしているかなんて考えたりしないのですが、3人でこれだけ分厚い音を出しているとなると、どんなセットでどう鳴らしているのかつい想像してしまいました。


Men Of Medieval Ages?, Tallinn, Estonia 2018.8

この曲を分析しようかと思ったら、またまたとんでもないブログを見つけてしまいました。
For Creative Music
King Crimson -I Talk To The Wind
https://ravenriverradio.blogspot.com/2017/11/king-crimson-i-talk-to-wind.html

今は更新が中断されているようですが、連絡がとれればいいのに。
バースのコード進行譜面でも上げようかと作業を始めた時に、このブログを見つけ、ここまで分析されては何も書くことがなくなってしまいました。
イントロの4小節の進行がとても綺麗なので、そこだけコード進行を書いておきます。

E△7 → C△7 → G△7 → F#m7/B7

メジャー7thをくるくる回していくコード進行は時々使われます。
例えば、Falling Grace(Jazzスタンダード)の

Bb△7 → Eb△7 → Ab△7   (4度づつ上がっていく)

このタイプの進行は、1小節毎に転調していると考えられる(というか、人間の生理上そう聞こえる)ので、非常にさわやかで不思議、まるで宇宙に発散するように聞こえます。
ギターだとメジャー7thの押さえ方は色々あるので、組み合わせを変えて弾いてみると、たった4小節でもいろんなパターンがあって、1時間位楽しめてしまう。


Pikk St. Tallinn, Estonia 2018.8

この曲、ほのぼのとしていて単純な曲に聞こえるのですが、コード進行が意外に面白くて、クリムゾン1stの曲ということもあって数多くのカバーがなされていますが、最初にこういうアレンジを思いついたところが尊敬。一番面白かったです。chang-moz(橋元成朋)さんは、仙台をホームグラウンドに活躍されているミュージシャンですが、東京で演奏されているなら、1度、ぜひ聞きたかったと思います。

自分でアレンジして、21世紀版「I Talk To The Wind」を作ってみようかと思ったのですが、chang-moz(橋元成朋)さんのアレンジが耳にこびりついて、今はこれ以上のアレンジが思いつかない。
(原曲コピーは作りたくないし。)どうアレンジしても、有名トリックの2番せんじを使った推理小説を書いているようで、納得いかなくなるでしょうから、今回はここまでのRepriseで終了です。

元の曲が素晴らしければ、何年たっても新しい発見があるものですね。
久しぶりにこの曲を聞いたよ‥‥‥

The Look Of Love(1967) Burt Bacharachの名曲を4つ打ちでアレンジしてみる

ポピュラーの名曲を探っていくと、東の Burt Bacharach 西の Paul Williams 南の Roger Nicolsにどこかでぶち当たります。(北は誰だ?) この中でも Burt Bacharachは、作曲者の名前は知らなくても曲は聞いたことがあるという名曲がぞろぞろ。作曲家もここまでくると、一流を超えて殿堂入りとなるのでしょう。さらに、作曲 Burt Bacharach 作詞 Hal Davidの黄金コンビといえば、レノン&マッカートニーが、唯一頭が上がらないコンビかも知れません。

そんな黄金コンビの The Look Of Love(1967)。
3ヶ月前のミニライブで演奏して、改めていい曲だなと感じました。確か、007のCasino Royaleの中でも使われていたっけ。この曲は、95%はまったりとボサノバでやるのが定石となっています。

私のブログのアレンジは、極力オリジナルと違うアレンジで、というのがポリシーなので、今回も、お洒落でまったりの対極でやってみようと、BIABのスタイルであれこれ探していると見つけたみつけた。
_DRVBRT8.STY ドライビング8ビートブリティッシュロック
ということで、オリジナルとは似ても似つかぬ8ビートロックアレンジでやってみました。
以下、私の試作を聞きながら読んで下さい。



Guitar: Fender Japan TL52-80TX ASH
Amp & Effect Fender Mustang1 (USB直入)
Keyboard:Korg Toriton Le
Video:The Long Bien Bridge & Han Gai Street Ha Noi 2017.12
という、私のスタンダードな機材。
今回は、猛暑の折、1日で仕上げたので、ほぼテーマを生かしてソロは申し訳程度としました。
イントロ、間奏、アウトロは分数コードを半音づつ移動するパターン。

ジャズのスタンダードと同じで、ポピュラーもこの位の名曲になってくると、オリジナルのコードどおりやることがかえって珍しい。そもそもオリジナルのコード進行がよくわからないし。
YouTubeを探ると、SERGIO MENDES & BRASIL'66 はブラジル風サンバでオリジナルに近い気もします。もちろん、Burt Bacharach自身のCDにも入っているのですが、彼のCDは山ほど発表されていて、アレンジもセルフカバーを重ねたのが多くて、いったいどれがオリジナルなのかよくわかりません。おそらくオリジナル曲が入っているLP、CDはとっくに廃盤になっているでしょう。


※最初の動画(私のオリジナルアレンジ)は、このコード進行ではやっていません。

まず、オリジナルっぽいコード進行をご紹介。
オリジナルのキーはDmなのかな?良くわからないのですが、ここでは、私のアレンジバージョン、かつ Diana Krall版と同じGmで記譜してみました。

この曲、まず譜割が独特です。
8+10+6=24小節で1コーラス。なんだ4小節×6段か、と思うとこれが違う。
最初の8+10小節をAパート、最後の6小節をBパートとすると、Bの6小節が明らかにサビになっていて、さらにAパートはGm、Bパートは平行調のBbに転調しているので、18+6で演奏しないとおかしなことになります。おまけに、21小節目、サビの3小節目が6/4拍子になっている。
この2箇所の風変わりな譜割りがあるので、セッションでたまにこの曲をやる時、ドラムさんがこの曲を知らないと、4小節×6のつもりでたたいておかしくなることがままあります。
(テーマは気をつけていたけど、ソロパートでついうっかりとか。)
この6/4はなんでしょうね。少し変化をつけてみたのかな?
素朴でほんわかなBurt Bacharachにしては、少し奇をてらいすぎという感じもしますが。

とりあえずオリジナル風のコード進行を載せてみましたが、おそらくこのコード進行でやることは余りないと思います。ボーカルさんが持ってくる譜面(おそらく何らかのポピュラー歌本のコピー)は、大抵の場合、違うコード進行になっているはずです。

最初の4小節は、ずっとGmでやっているのもあるし、少し変化をつけてGm→Gm#5→Gm6→Gm#5 とクリシェにすることも多い。
また、9,10小節目のGm7→G7や、11,12小節目のEbM7→Ebm7のようなメジャーマイナーをまたぐコード進行は、はっきりコード感を出すと、この曲のようなまったりした雰囲気ではダサくなってしまいます。原曲では、ごくさらっとコードを動かしています。このあたり歌伴では要注意ですね。

最後の6小節のサビは3小節+3小節と考えてもいいのですが、BbM7→Cm7→Dm7→Cm7(2/4)の変則4小節と考えると、コード進行が盛り上がっていい感じです。まったり感は少なくなりますが私はこちらの方が好きです。頭に帰る直前の最後の1小節を何にするかなども、色々考えられます。
先の私のアレンジでも、色々とコード進行を動かしていますので、聞き分けてみて下さい。

以上は、1コーラスの中での動きでしたが、曲では当然、イントロ、間奏、アウトロが付くので、この部分をどういうコード進行でどうアレンジするかまで含めると、色々なパターンが出来てきて面白い。YouTubeに上がっている、プロの方のライブでも色々なアレンジパターンがありますね。今度、この曲の譜面を見たときには、注意してみて下さい。


Diana Krall - The Look Of Love
https://www.youtube.com/watch?v=Yr8xDSPjII8

最後に、21世紀の極めつけお洒落アレンジとして、Diana Krall版を上げておきます。
(PVそのままで、そのうち消されてしまうと思うのでURLも。)
このアレンジ、弦も入って、イントロのコード進行から非常にゴージャスなアレンジです。さらに、このPVの画像自体も、壁に貼ったポスターの中でDiana Krallが歌い出すという非常にお洒落なもの。
さすが、Diana Krall、金に糸目をつけずにやってくれます。

Burt Bacharach、名曲を8ビートロックにアレンジにされて、怒るかな、笑うかな‥‥‥

Wait a Little While(1978) Coverやっと出来ました

今回のカバーは結構手間がかかってしまいました。まず聞きながらお読み下さい。



E.Guitar : Fender Japan Stratocaster ST-80SPL/R 2002
Effect : Zoom MS-50G
Keyboards & Strings : Korg Toriton Le
Backing : BIAB (Tito マンボサルサ)
Video : Near The Lake Louise, Canada 2015.8
Arranged and Played by Akissh

(前回)Wait a Little While(1978) 大橋純子と Patty Janura と Kenny Loggins

カバー曲が決まると、まずすることはカバー曲の譜面作り。
コードをとってメロディをコピーする。(場合によってはリフや裏メロも。)
私の場合、いい曲だな自分でも弾いてみたいなという曲は、時々譜面を作って貯めています。今回も、正月に大橋純子の記事を書いた時点で、この曲をカバーすることに決めていて譜面も出来ていました。

ただ、コードコピーをやったことある方はご存じでしょうが、すぐに出来てしまう曲もありますが、90%位まではさっとできても残りの5%、数小節でつまづいてしまうということが結構あります。
今回も、2小節どうもすっきりしないところがありました。

譜面が出来たら次は、カバーの方針決め。つまりどの程度原曲をアレンジするか。
若いころはストイックに完コピしていた時期もありましたが、完コピを目指すと1曲を3日で1000回位聞くことになります。それも4小節とか細切れで。結果、大好きだった曲が、もう2度と聞きたく無い位になってしまう。今はもうできません。

今のカバーポリシーは、
「原曲の良さを残しながら、むしろいかに原曲と違ったテイストの曲にできるか」です。

何度も書きましたが、Band In A Boxを最大限生かして、千以上あるスタイルの中からユニークで素敵なものを選んでくるという、楽しく簡単な作業で出来るようになりました。
スタイルとは、簡単に言えばリズムパターンです。色々な楽器で演奏したパターンにコードを流し込むと、そのコードで演奏してくれるという優れもの。同じコード進行でも、生べ、生ピ、ジャズドラムでやったものとスラップベースとエレピでやったものはまったく感触が違いますし、シーケンサーのように音符をこちらが指定する訳でないので、その楽器にあったフレーズで演奏してくれます。
今回はサルサ。ちょっとサンバっぽく原曲とはまた違ったテイストで面白そうなので決定!


The Lake Agnes, Canada 2015.8

BIABのスタイルが決まると、脳内に急にインスピレーションがわいてきて、メロディは何の楽器で演奏するか、コード進行を少しいじってみるか、バンプを入れて曲の構成を変えてみるか、パソコンでソロを任せるのか、自分で演奏するのか、、、、、、色々な選択肢を考えていきます。
カバー作成のプロセスで、クリエイティブで一番面白い段階です。

概ねアレンジが出来た段階で、BIABにコードを入力し、BIABで録音したバッキングトラックをDAWに流し込みます。ここからは録音のプロセス。1つ1つの楽器をトラックごとに録音していきます。
自分のもう一つのポリシーとして、ここから先の作業は1日で絶対に終わらせることにしています。以前にも書きましたが、この録音作業は自分で自由に進められるだけに、どこかで区切りをつけないと、永久ループに入ってしまう。

例えば、、、、ギターソロ8小節を録音して寝る。
1晩たつと、あのソロちょっとダサかったからやり直そうとか、あの曲にストラトのソロは合わない、セミアコでふわっとした音色に変えようとか、音色にパンチが無いからEQで800Hz付近を少しあげてみるか、とか色々なことが頭に浮かびます。趣味は納期もなければスタジオ持ち込み日もないので、さんざんいじって中途半端で棚ざらしという危険性が大。

ここからは1トラックずつひたすら録音をしていくのですが、これがそう簡単にはいきません。ギターはともかく、キーボードは普段弾かないので、まず1時間位練習して手が馴染んでくるのを待つ。ベースは最近はBIABに任せることが多いですが、たまに今回は自分で弾いてみようと、ケースから出すと弦が死んでいたり‥‥


Top Of The Big Beehive, Canada 2015.8

今回あったトラブルは、、、、
DAWでとり進めたマルチトラックを、何を間違えたか、ステレオミックスで最初から録音していた(本来は、マルチトラックでトラックごとに録音していき、後で音量や定位を変更したり、ミスしたところを修正する必要がある。このためのマルチトラック録音ですから。)2時間で6トラック位録音が終わってから気づいたので、この録音はパー。心が折れそうになりました。

また、ギターの録音チャンネルをステレオで途中まで録音していたはずなのに、ある時点からギターチャンネルがモノラルになってしまった。モノラルではコーラスでふわっと音像を広げたりするのが不可能なので、また悩む。しょうがないので、モノラルでも比較的差し支えないリフの部分を先に録音したり。
(原因は終盤に発見。)

普段からDAWをしょっちゅう使っている訳でないので、こういう操作ミスがどうしても発生してしまいます。それでも1日で終わらせるために、作業を進める。通常、バックに近い楽器から録音を進めて、聞かせどころのメロディやアドリブは最後に入れるのですが、この頃には大抵、夜の12時を回っているので、一番肝心なところを短時間で終わらせるという矛盾が毎回です。
最後の最後で、どうもおかしいと譜面と原曲を聞き比べて、コーダに入る前のところが1小節多いことを発見。譜面作成時のミスでもうどうしようもない。こういうアレンジだということにしよう。
結局、夜の2時頃に完成。おやすみなさい。

しかし、今回は、自分のポリシーを破ってしまいました。
完成したファイルは、ウォークマンに入れて翌日の通勤の時に確認のために聞くのですが、どうしても1箇所演奏が気に入らない。もうYouTubeにもアップしたしとあきらめかけたのですが、このままではやっぱりいやだ。ということで、前日片付けたセッティングを再度接続して、2小節差し替えてファイルを作り直しました。勿論YouTubeも差し替え。
昨年の譜面つくりから始めて、2月末にやっと完成しました。



曲の解説がほとんど出来なくなりましたが、1箇所だけ。
ソロが終わってサビに続く、2度目のメインメロディの冒頭4小節のところのバックのストリングスライン。前回載せた、Patty Januraのカバーでのこの裏メロがとてもセンスがいい。
(前回のYouTubeの2:18からの所。映像がカラーに変わる部分です。)
このメロディはぜひコピーして自分のカバーに入れたいので、自分で弾いてみました
(今回のカバーでは、2:26からの4小節)
この部分、譜面を載せておきます。(イントロ8小節の後の、51~54小節になります。)

さすが21世紀のプレイヤー、センスいいフレーズだ。キーボードのお名前は存じませんが。

と思ってふと Kenny Logginsの1978年の原曲を聞いたら、この部分まったく同じ裏メロでした。
ということは、、、、Patty Januraのカバーは、もしかして? 
ええ、良く聞いたら、Kenny Loggins の原曲の完コピでしたよ、ベースラインも何もかも(笑)
お恥ずかしい。(大橋純子のカバーのここの裏メロは異なっています。聞いてみて下さい。)

カバーを作ってみて、改めて原曲を知る‥‥‥かな。

Wait a Little While(1978) 大橋純子と Patty Janura と Kenny Loggins

Kenny Loggins と聞くと、ある年齢層以上の方はロギンス&メッシーナを連想するのではないでしょうか。ロックというよりポップス系のデュオなので、私も含め硬派の?洋楽好きの間では余り話題になっていなかった気がします。その後、「フットルース」などでヒットを飛ばしましたが、ポップなサウンドに加え外見がいかにも女性受けするいい男なので、日本では”女子供向け”のラベルがはがれることはありませんでした。(男の嫉妬か?)

Kenny Loggins の代表的名曲「Wait a Little While」は2ndアルバム「Nightwatch」(1978)で発表。「Nightwatch」はボブ・ジェームスのプロデュースで、アメリカでは大ヒットするも、日本では大した話題にはなりませんでした。今聞くと、隠れた名曲と一般的な凡作が混ざり、バックもちょっとフュージョンっぽい感じも見え隠れして、クロスオーバーが始まった時代だよなと懐かしくなります。AORの先駆けでしょうか。

「Wait a Little While」という曲名、面白いですね。Please を頭につけると「少々お待ちください」という決まり文句になります。歌詞はさわやかな9月に愛を見つけたのに冬に見失なって寂しいよ、というラブソング。韻が沢山踏まれていて、曲のサウンドにあった綺麗な歌詞です。このアルバムの中でも、ボブジェームスのアレンジが一番光っていて、綺麗なメロディがちょっとフュージョンタッチの演奏と組み合わさって、見事なAORの佳曲となっています。



原曲はYouTubeで聞いて頂くとして、ここでは大橋純子のカバーを紹介します。
この時期の大橋純子のバンド、美乃家セントラル・ステイションは、
佐藤健(キーボード)
小田健二郎(キーボード、シンセサイザー)
土屋潔(ギター)
マーティン・K・ブレイシー(ドラム)
六川正彦(ベース)
後藤輝夫(サックス)
という第2期メンバー。

大橋純子は、少し前に書きましたが、その非凡なボーカルセンスで、アルバムのオリジナル曲だけではなく沢山の洋楽をカバーしています。残念なのはそのカバー曲がアルバムとして残っていないこと。彼女が若くして登場した最盛期の1980年前後に、スタジオライブとコンサートで時々披露していたカバー曲は本当に素晴らしいものが多いです。(彼女は当時、FM東京で自分の冠番組を持っていたので、スタジオライブで色々な曲を演奏しています。)

この演奏も、第2期メンバ―の特徴が良く出た素晴らしい出来だと思います。
日本人離れしたリズム隊にダブルキーボードが乗り、サックスが加わるというフュージョンポップの王道のようなサウンド。私もこんなサウンドが1つの理想系で、ダブルキーボードのバンドを結成したこともありました。その話はまた後日。

ちなみにドラムのマーティン・K・ブレイシーは、米空軍の兵士を退役後、日本で音楽活動を始めたという異色の経歴の持ち主。美乃家が解散してからは”もんた&ブラザース”で長年活動していて、現在もプレイヤーを続けながら音楽学校の講師としても活動しているという、ほぼ日本に永住しているオハイオ生れの黒人ドラマー。黒人らしいパワードラミングと日本人にはないリズム感に加え、タムタムを多用する独特なフレーズで、美乃家時代から好きなドラマーでした。

実は、大阪に単身赴任していた頃、在阪のバンドで活動していたのですが、ライブハウスで演奏しているのを知ったのが東京に戻る辞令が出た直後。結局、一度も聞きに行けなかったのは本当に残念でした。


Covered by Patty Janura (Gold Coast , Aus 2013.5)

名曲だけあって、Al Jarreau やPatti Austinなどの大御所もカバーをしているのですが、やはり最高のカバーは大橋純子だと数十年思っていました。が、昨年、ついにひょっとすると大橋純子を上回る素晴らしいカバーを発見しました。

Patty Janura というボーカリストで、日本ではほとんど知られてません。私もこのカバーをきっかけに知りました。CDがあるのかわかりませんが、自分のバンドを率いてラスベガスでしばしば出演しているようです。いかにも手慣れたボーカルですから、ライブ中心に活動している方なのでしょう。
この軽やかなサウンド、ボーカルもクールですが、バンドが素晴らしいですね。ギターのカッティングにしても、ベースライン、キーボードサウンドにしても、これぞ21世紀の「Wait a Little While」という感じです。

原曲と2つのカバーをじっくり聞いて驚くこと。40年も前の曲をカバーする場合、普通なら今風にアレンジを変えて演奏も工夫し、原曲の良さをより一層引き立てようとするものですが、細部も含めてほとんど原曲のディティールを生かしています。いかに原曲のアレンジと演奏の完成度が高かったか。さすがボブジェームス。もちろん原曲のメロディーとボーカルも素晴らしい。

こんな名曲を埋もれさせるのはもったいないな、ということで自分でカバーを演奏してみたいと思いつつ、今回は難産で、昨年から年またぎの時間がかかってしまいました。
長くなってしまったので、次回はカバー編とします。

(次回)Wait a Little While(1978) Coverやっと出来ました
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プロフィール

Author:AKISSH
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休日は、You Tubeで好きな曲を見つけて
コピーしたり、カメラ片手に旅を。
世界中を歩いてみたいよ。
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(5th Anniversary)(その2;音源編)
(5th Anniversary)(その3;音源編)

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