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Weekend In 心は L.A.

音楽と楽器、そして時々海外に

 

悲しいほどお天気(1979) Coverしてみた コード進行の美しさNo.1

アルバム「悲しいほどお天気」の中では、「丘の上の光」「さまよいの果て波は寄せる」という長尺の曲が好きなのですが、それと並んで彼女の曲の中で1,2を争うくらい好きな曲が、この「悲しいほどお天気」。アルバムタイトルになった彼女の曲の中ではかなり地味な部類の曲かも知れません。

今回のカバーは、曲構成とコード進行はそのままにして、あくまでコード進行の美しさを楽しむようにしました。BIABのスタイルは「スムースジャズアルトサックスソロ」。
大サビはBIABのサックス君にお任せしてみました。以下、聞きながらお読み下さい。


Backing Movie:From Helsinki To Tampere, Finland 2018.8
Guitar: Gibson Les Paul Studio 2004 Oil Finish
Keyboard:Korg Toriton Le
Backing Rhythm Track:BIAB

松任谷由実のことを書くことは、今後も余り無さそうなので、好きなアルバムを書いておきます。
彼女のファンの方からみると、相当変わっていると思います。

ベスト3は、
「悲しいほどお天気」(1979)  (圧倒的1番)
「時のないホテル」(1980)
「紅雀」(1978)

売れなかったアルバムベスト3みたいな感じですが、ライブ映えするポップでゴージャスな乗れる曲、という嗜好がまったく無いのでこういう好みになってしまうのだと思います。(暗い曲が好きなわけではありません。)この時期は、松任谷由実の転換期で、ややダークかつ内省的な作風の時期といわれてます。

松任谷正隆のアレンジが開花したのも、およそこの時期(14番目の月(1978)から、時のないホテル(1980)付近)ではと感じています。一般的には、REINCARNATION(1983) あたりからNo Side(1984)あたりでピークに達して、そこから10年間位絶頂期を続けたという評価でしょうが、私は、海の向こうのフュージョンポップアレンジを積極的に取り入れていった70年代後半のアレンジが、夜明け直前という感じで一番わくわくします。

実は、絶頂期はアルバムとして聞くことはほとんどありませんでした。バブル期に流れてきた彼女の曲は、既にどこにでも転がっている曲とアレンジで(多分、時代が追いついた。)、ワンオブJ-Popとしてしか認知できませんでした。


The Esplanadi Park, Helsinki 2018.8

この曲はともかくメロディとコード進行の関係がものすごく綺麗。極めつけはイントロの9小節です。コピー譜を載せておきます。コードは、ネットを見ると他のコードを付いている方もいますが、私は譜面のようにとりました。

一見してわかるように、b9,#11,#9,13というオルタードテンションたっぷりのコードにC#,D,C#,D,C#~という同型のメロディをのせている。なんだかドビュッシーかストラビンスキーを思い出しそうな流れ。そのコードを表すストリングス部分の音階がよく聞き取れないので、ますます謎めいた展開に。

悲しいほどお天気イントロ

原曲は、テンポ82とかなり遅いのですが、全編に16分の食いリズムを入れていることで余り遅く感じない。BIABは打ち込みでないので、この食いを再現できない。(そもそもコピーするつもりも無いし。)このリズムの仕掛け無しに原曲テンポにすると、若干だれてしまうので、テンポは82から92へとアップしてみました。

冬休みにカバーを作ったのですが、今回は大きく悩みました。
メロディを楽器で弾いてかぶせると、それに気をとられてエレピのコード進行の美しさが映えない(ような気が私はする。)さらにメロディをエレピにするとコード弾きのエレピとぶつかるし、ギターだとガイドメロディっぽくなってしまう。かと言って、Aメロからギターアドリブを重ねて行ったのでは、コード進行を借用した別の曲になってしまう。
結局、リアルギターでなく、シンセギターっぽい音色でメロディを弾くことにしました。
ここは、十分満足している訳ではないので、いつか、別バージョンを作ってみるかもです。

コピーしていると、この曲の浮遊感をもたらしているのは、メロディがMajor7thのロングトーンだったり#11thや9th なのが原因なんだということがわかってきました。(松任谷由実は)自分で歌うつもりなので、どんなメロディも付けられますが、他のボーカリストへ書いた曲なら、こんなメロディ歌えないよと文句が出そうなボーカルラインです。

大サビのところで A ⇒ F長3度下と遠いところに大胆な転調。違和感を感じても不思議はない位なのに不思議と感じない。ドラム、ベースのリズム隊がAメロ、Bメロと余り変わらない動きをしているのも、転調を意識させないためにわざとやっているのではないか。カバーを作成しながらそんな気がしました。

原曲ではうっかり聞き過ごしてしまいそうなコーダ部分。ギターのバックのキーボード。小さなフレーズを重ねて、キラキラしたコード感を出すのに成功している。このアルバムはコーダ部分を凝った曲が多いと思うのですが、どうでしょうか。


The Path In Late Summer, Helsinki 2018.8

完成後、大サビのあとの1箇所、コードコピーの間違いを発見。普通のDAWなら、その部分だけ直せばいいのですが、BIABの場合、リズム隊だけを最初にWavファイル1本に作ってしまい、その上から上物をトラック毎に流し込むので修正不可能。わかります?

大好きだったこの曲ですが、ちゃんとコピーして譜面に落としたのは今回が初めて。
この曲、作曲段階で相当こねくりまわしてますね、いい意味で。
旦那様と一緒に、普通っぽく聞こえる凝った曲にしようアルバムタイトル曲だし、と2人で話しているのが聞こえてきそうです。変な言い方ですが、自分がこの曲を好きだった理由が改めてわかりました。

相当凝った曲なのに、曲調はさらっとしている。歌詞は誰もが認める玉川上水を舞台の私小説。

私小説的な地味目な曲、なんていう感想を読んで2人はにやにやしているかも‥‥‥



荒井由実のカバーはこちら
ベルベットイースター(1973) By 荒井由実 Coverしてみた 冬休みの自由研究

ベルベットイースター(1973) By 荒井由実 Coverしてみた 冬休みの自由研究

この冬、松任谷由実の作品がYouTubeで聞けるようになったのを機に、改めて聞きなおしてみました。まさか荒井由実のカバーをするとは思いませんでしたが、まず聞きながら読んで下さい。リズムトラックはいつのもBIABで、スタイルは「カントリースイングペダルスチール」。
この曲の冷たい空気感の再現。原曲は、私は教会の中でのコラールを連想するので、カバーは、アメリカ西部の砂漠の1軒屋の焚き火をイメージしました。


Backing Movie:Helsinki,Finland 2018.8
Guitar: Gibson Les Paul Studio 2004 Oil Finish
Keyboard:Korg Toriton Le
Backing Rhythm Track:BIAB

バリバリジャズの人、あるいはクラシック畑の人が松任谷由実の曲の分析をしているブログ記事を時々みかけます。楽器をやっている人なら、彼女の曲が音楽的に面白いなと思ったことが1度はあるのではないでしょうか。

彼女の曲の魅力は、一言で言えば、お洒落なコード進行とポップスの王道を行った旦那様のアレンジとあの声の取り合わせかと。他のボーカリストに書いた曲は、むしろ純粋に曲の魅力が発揮されてよりわかりやすい。(もちろん、オリジナルにはオリジナルの味があります。)

それから、大人になって気が付きましたが詞も素晴らしい。
私は、ボーカルの曲を真剣に聞いていても、どうしも歌詞よりコード進行やフレーズに耳が行ってしまって歌詞を聞き取れない。このため歌詞で好きになるということはなかったのですが、あらためて聞いてみると、君が死ぬほど好きだとか、夢を追って歩いていこうなんていう、巷のペラペラな歌詞とは、まったくクオリティが違う。1曲1曲が短編小説なんて言われてますが、本当にそう。「セシルの週末」なんてこの歳になって聞いても(この歳だからか?)、ジーンと涙腺が緩んでしまうもの。

彼女の曲との出会いは今でも鮮明に覚えています。
日本のポピュラー音楽なんて、歌謡曲かフォークソング位で聞くに値しないと中高時代ずっと思ってた。大学に入り、一緒にバンドをやっていたジャズ好きの友人の家に泊まりに行った時、「これ聞いたことある?結構いいよ」と貸してくれたのが「ひこうき雲」荒井由実1st。それまでも彼女のヒットチャートの曲は少し聞いたことがあったので、同類だろうと家で聞いてみて驚く。
自分がそれまで聞いていた洋楽とは違うし、馬鹿にしていた日本のポピュラー音楽とも全然違う。これが日本人の音楽を真剣に聴くきっかけでした。
(以上、大学時代の思い出、終了。)


Tampereen Tuomiokirkko Tampere, Finland 2018.8

「きっと言える」なんて、どこにでも転がっている歌謡ポップスかと思うと、Aメロの中でどんどん転調していく。なんだこれはと思っていると、サックスのこれも転調を生かしたソロが入ってくる。(今では驚くほどのことはないかも。でも70年代後半にフュージョン系ポップスが津波のように入ってくる前は、こんな曲とアレンジを思いつけるのは、輸入盤の洋楽を山ほど聴いてきた人しかいなかったはず。)自作の詞にありきたりのコードを付けた曲とはあきらかに違う。相当凝ったことをやっているのに、全体は流れるように自然なタッチでかっこいい。73年の1stの中の1曲だとは驚異的です。

(余談)「返事はいらない」はまったく売れなかったデビュー曲。いかにものアメリカンポップス崩れの曲。これじゃ売れないな。そもそも1stの中で一番荒井由実らしくない曲だし。シングルにこの曲を選んだレコード会社のセンスに驚きです。彼女の曲が理解できなかったのでしょうね。

驚いた曲の1つが「ベルベットイースター」
Aメロは、半音ずつ下がっていくベースの中で同形のメロディが動いていく。
クラシックの対位法がモチーフなのか?シンプルなのだけど、なぜか頭から離れない。
最初の8小節を載せておきます。(前小節からのシンコペーションに注意です。)
この主旋律と伴奏、いいですねー

ベルベットイースター8

サビの EbM7⇒Dm7 という動きでパーッと世界が広がる。歌詞に中々気が回らない自分も「空がとっても低い、天使が降りてきそうな程」って、すごい歌詞だなと感じました。映画の1シーンか?
原曲の空気感が余りに素晴らしく、研ぎ澄まされた冷たさがあります。
このアルバムは後追いでしたが、1973年の発表ってほんとに凄いと思います。

実はコピーして譜面に落としてみたのは、ずっと後でした。Aメロと同じコードだと思っていたBメロ(サビの直後の8小節)が、Key=Cmではなく Key=Gmになっていると知ったのもその時。
サビのバックにオルガンが入っているのを意識したのもこの時。オルガンといっても、70年代末にはやった、ディストーションをかけたりパーカッションを加えたハモンド的音色ではなく、レトロな音色のオルガン。(機種は何だ?) オルガンを入れるとレトロな味わいになる、はっきり言えば古臭くなる。でもそれが絶妙にマッチしている。荒井由実はプロコルハルムが好きだと言っているので、彼女の発案なのか、その話を聞いた松任谷正隆のアイデアなのか。

このアルバム、彼女のブリティッシュ好みと、バックのティンパンアレーの(多分、鈴木茂の)アメリカンポップス嗜好が合ってないという人もいるけど、この曲は明らかに荒井由実テイストでアレンジされ大成功しています。

コーダの前の8小節のインタールード部分もいいなあ。教会の中で聞いているような。
(EPのみの4小節と、荒井由実のスキャット4小節部分。)
ここは、サビと同じく EbM7⇒Dm7 とコードを付けている人もいるようですが、やはりエレピのメロディどおり、Gm/Eb⇒F/D だと思います。(実際は、フレーズを先に思いついているはず。だからコード付けなんてどうでもいい訳ですが。)


Nasiselka Tampere, Finland 2018.8

キーボードでこの曲を弾くと、(当たり前ですが)彼女はこの曲をピアノで作ったのだな、というのがよくわかります。Aメロの音の動きやインタールード部分は、ギターではなかなか思いつかないもの。
そもそもキーボードは、その構造上、自然に分数コードが弾ける楽器。キーボードで左手をオクターブで動かしながら、右手で次々にトライアドを重ねていくという原始的な弾き方がそのまま分数コードになっているとも言える。片手のボイシングはものすごくシンプルなのに、合わさるとフワーッと世界が広がる。いつもの楽器と違う楽器で弾いてみるのは、また違う角度から曲が感じられていいですね。

そういえば、彼女がどこかで「中学生の頃から分数コードの響きに魅せられていた」と言ってました。ずっと心の中で暖めてきたサウンドだったのでしょう。

動画の最初のシーン、麦わら帽子をかぶった少女が街中を走り去っていく姿が、余りに曲にぴったり合って驚きました。

動画を撮っている時には全然気づかなかったよ‥‥‥


松任谷由実のカバーはこちら
悲しいほどお天気(1979) Coverしてみた コード進行の美しさNo.1

Song for Bilbao(1983) By Pat Metheny Cover してみた

メセニーのライブアルバム、Travels (1983)は、グラミー賞を受賞した彼の代表作で、メセニーのアルバムの中でも、グループ初登場の「Pat Metheny Group(1977)」と並んで好きなアルバムです。まさに珠玉の名作といってもいい作品。

今回、やってみたのは、この中の曲「Song for Bilbao」。
Bilbaoとは、スペインのバスク地方のビスケー湾に面した都市の名前。マドリードやバルセロナも良いけど、スペインの田舎町にはものすごく惹かれます。いつか歩いてみたい。
自作のカバーを聞きながら、以下、読んで下さい。


Guitar: Fender Japan TL52-80TX ASH
Keyboard:Korg Toriton Le

カバーはいつものように、BIABでバックを作成。今回のスタイルは「ポップファンク」。
タワーオブパワー風なホーンセクションを入れてみようと、ホーンセクションが入ったスタイルをあちこち検索したのですが、BIABのブラスは、どのスタイルもオフな雰囲気のマイルドな音色なので、ブラスばりばりという感じにならないのが残念なところです。タワーオブパワーとは似ても似つかぬホーンセクションになりましたが、ま、こういうアレンジだということにしましょう。

この曲、初めて聞いた時から好きだったのですが、メセニーのこんな曲、演奏する人なんてめったにいないよね、と思っていたので、黒本No.2にこの曲が載っていたのを見たときは、本当に驚きました。せっかく黒本にあるのでセッションでやったことがありますが、メセニーとも気づかれず、「これ誰の曲?」なんて言われてしまいました。


あしかがフラワーパーク     2018.10

この曲の構成は少し変わっています。28小節で、A-A-B-A。
曲のテンポがかなり速く、オリジナルテーマは、サビの部分を、(付点4分音符*2)×4というリズムで演奏しているため、ちょっと聴くと3拍子には聞こえないのがミソです。

Aは、C7sus4*4,GbM7(#11)*2,C7sus4*2 の8小節。
Bは、3拍子*4小節 という変拍子。(下に譜面を載せました。)



この曲、構成は単純でメロディは綺麗。でもAの部分はちょっと変わったコード付けで、どんなスケールを使おうかと頭をひねるし、サビはこれまたどうしようかと悩む。メセニーの曲は、ジャズ的なカバーは難しいのですが、YouTubeを検索すると色々なバンドが演奏しています。一見シンプルで、フュージョン好きの演奏者を思わず夢中にさせる曲なんでしょう。

YouTubeから、下を紹介しておきます。
Bs.は日本人のフュージョン界で一番好きかもの岡田治郎。ワンナイトセッションということで、おそらくリハ1回程度での演奏だと思いますが、いかにも上手さんの1発セッションという感じで、原曲の枠に忠実にでもその中で遊んでいるという演奏。好きです。
(最初、誰がシンセ弾いているんだと探してしまいました。ギターシンセなんだ。)


Gt.鈴木よしひさ、Bs.岡田治郎、Key.坪口昌恭、Ds.加納樹麻

モード的な曲でのアドリブは、どのコードの時にどんなスケールを使うかを考えておくのが一般的だと思います。2-5-1のようなパターンが使えないので、各スケールでの手持ちフレーズの引き出しを持っていないと、すぐにペンタ的フレーズにたよって単調なソロになってしまいます。

パートA は、C7sus4 は、 C Lydian7th、C Mixolydian。
G♭△7(#11) は、G♭Lydian、D♭Ionian、C locrian あたりが使えそうです。

こういう曲は、あまりごちゃごちゃ頭で考えるより、原曲のソロ部分をコピーして、かっこいいフレーズを仕込んでおくほうが話が早いのですが、メセニーのソロは、(あたりまえですが)常にメセニー節というか、独特のリズムや音色、ダブルストップで、非常にコピーし難い。いいなと思うフレーズをコピーしてみると、音程は意外と普通のスケールだとなる。かといって、それを自分で弾いてみると、全然、メセニーのようにならない。本当にギタリスト泣かせな人です。そこが最大の魅力なんですが。

サビの4小節は、黒本には、オリジナルテーマのコードがそのままとってありますが、ここは一体、どんなことを考えてメセニーは弾いているのでしょうか。我々凡人は、コードに沿った1音ずらしフレーズを弾くくらいしか手がなさそうですが。

たまにはこんな曲を、皆で演奏するのも楽しそうだ‥‥‥

Still A Friend Of Mine(1993) by Incognito

インコグニートってどんな意味?
このバンド名を聞いた人は、私を含めて最初に思う疑問でしょう。「匿名」という意味だそうです。日本語でも匿名なんて言葉を使う機会は少ないから、ピンとこなくてもしょうがないですね。

イギリスで1981年に結成されたアシッド・ジャズバンド。といっても最初の10年間はほとんど日本で知られていなかったので、日本では1991『インサイド・ライフ』から2000年代にかけてが最盛期だったでしょうか。もちろん今でも大御所として人気はありますが。

Wikiで使われていたアシッド・ジャズバンドという呼び名をあえて使ってみたのですが、少し抵抗があります。「アシッド・ジャズ」というと、70年代後半から80年代に一世を風靡した「フュージョン」が縮小再生産の悪循環にはまり飽きられてきた1990年代に、新たな潮流として生まれたジャンル。

日本で有名どころとしては、ジャミロクワイあたりが筆頭でしょう。
ファンクっぽいといっても第1世代のジェームスブラウンあたりと比べると、フュージョンの時代を越えているので、演奏力が桁違いに高い。そもそもブルースと初期ロックしかなかった60年代~70年代初めと比較する方が間違っています。最初は、ジャズが付いているので、ジャズの派生かと思ったのですが勘違いだったようです。まあジャンルの名前なんて、レコードショップが棚を整理する必要のためにあるようなもので、何ら気にする必要はないと思っていますが。

私などのフュージョンど真ん中世代からみると、一言でいうと、ボーカル×(ファンク+フュージョン)/2 という粋な演奏を、洗練されたポップな味付けをした音楽という感じがします。
(全然一言ではないな。)
タワーオブパワーをずっと洗練しかつ一般受けするようにしたサウンドと言ってもいいかも。インストサウンドを突き詰めると、どうしても平均的音楽ファンから乖離して、クラシックやジャズのようなマイナーな世界に入ってしまうので、1周回ってボーカル主体の音楽にもどってくるのは面白いです。


Billboard Tokyo

もう一つ、インコグニートはバンドというよりも、リーダーでギターのJean-Paul“Bluey”Maunickが、その時その時で結成するプロジェクトと呼んだほうがふさわしい。CD毎にメンバーはくるくる変わっていくし、しかも非常に多作なバンドなので、どの曲で誰が演奏しているのか、何枚か聞いていると段々どうでも良くなってきます。

Jean-Paul“Bluey”Maunickは、ギタリストだけでなく、他人の音楽作品をプロデュースしたりと幅広く活躍している人で、おそらくプレイヤーというよりプロデュース指向が強い人なので、同じメンバーで作品を作りこむということにほとんどこだわりがなく、その時その時のやりたいことにマッチするメンバーを集めてサウンドを作るというやり方が好きなのでしょう。少し前に、サンタナがこういう指向です、とこのブログに書いたことを思い出しました。

ところでなぜ急に Still A Friend Of Mine?
個人的な話になるのですが、彼らが全盛の90年代は、公私ともども一生で一番忙しかった時期で、10年位ギターもまったく弾かなくなりました。音楽も新しいものを探して聞く余裕が全く無く、昔のフュージョンをたまに聞く程度で。
ということで、インコグニートの初期の名曲、Still A Friend Of Mine(1993)を始めて聞いたのは21世紀に入ってからでした。単身赴任して、夜が暇になって、音楽と楽器を再開したころだったかな。

やはり21世紀だ、いつの間にかにこんなお洒落な音楽が出来たのかと感心して聞き、CDを買おうとして調べたら10年前のリリースだったことを知りました。あの時は一人で恥ずかしかった。まるで、プリーズプリーズミーっていい曲だよね知っている?と、ビートルズが解散したのも知らずに友人に自慢する昔の中学生みたい。


Still A Friend Of Mine INCOGNITO

この曲、オリジナルももちろんいいですが、YouTubeで見つけたライブ演奏が非常に良かったので、それを紹介しておきます。ベースが凄くいいですね!
楽曲の1コマ分析として、イントロのコード進行をあげてみます。



YouTube音源でいうと、ベースが入ってからの8小節です。最初に聴いた時はなんて綺麗な進行なんだと驚きました。
あえて解説すれば、最初の小節はKey=A、次の小節はKey=G と転調していると考えられます。なんとなくコードを眺めると、DとCの間を転調しているのかと思うけど、実はサブドミナントから降りてくる進行だというところが面白いですね。
このコード進行をある程度のテンポで演奏されると、2小節目と4小節目の頭でふっと肩透かしをくわされたような感じになり、それが快感になる。

今では、J-Popはおろかその辺のゲームミュージックでさえ使われているコード進行ですが、最初に聴いた時はちょっと感動。ポピュラーミュージックの歴史の中では、どの曲がオリジナルなんでしょう、この進行。まさかStill A Friend Of Mineじゃないでしょうね。

インコグニートのコピバンをほとんど聞いたことがないのですが、そのうちやってみたいな‥‥‥


I Talk To The Wind(1969) 50年の時を経てReprise

Composed by Ian Mcdonald , Lyrics by Peter Sinfield

本ブログに立ち寄ってくれる方は相当の音楽好きな方が多いと思います。「I Talk To The Wind」と聞いただけでピンと来る方が83%位はいるでしょう。今さらかよ、という感想の方も多いでしょうね。
突然この曲を持ち出したのは、1週間前にあるものを発見をしたからです。
まず17%の方に。この曲は、いまだKing Crimsonのテーマソングとなっている1stの1曲目「21st Century Schizoid Man」の次の曲で、混沌の嵐の後にくる安らぎのチューン。


Saint Olaf’s Church, Tallinn, Estonia 2018.8

実はこの曲、オリジナルチューンの他に、Judy Dybleがボーカルをとっている別バージョンが相当有名で、"A Young Person's Guide to King Crimson"(1976)というベスト盤にもこちらが収められているほど。(その他に、Giles, Giles & Fripp の未発表音源バージョンなんていうのも出てます。もっともアレンジは、ほぼJudy Dyble版と同じですが。)
オリジナルの、まったり夢見ごごちの曲調もいいのですが、Judy Dyble版はもう少しさわやかでフォーキーな曲調。実は、私はこちらを先に聞いてしまったので、このバージョンが絶対に一番だったりします。スネアの刻みにのった、Judyの少し物憂げなボーカルが何とも言えない。

まずこの曲のオリジナルバージョンを張り付けておきます。(もちろんJudy Dyble版)
著作権上の問題にならないよう一部抜粋です。





I Talk To The Wind (Judy Dyble版)

歌詞は、単語は簡単なので中学生の時に一生懸命訳しましたが良くわからず。プログレの歌詞は、良くわからないどころか解釈困難、意味不明の方が偉い、という価値観がありましたから、当時。
私は、歌詞について深く考えるタイプではないのですが、歌詞和訳のブログを覗くと、暗喩の解釈などいろいろな記事があり興味深い。ひたすら韻を踏んでいるところなど、いかにもPeter Sinfieldらしい歌詞だと思います。
で本題。1週間前にYouTubeをさまよっていると、この曲のカバーを見つけました。


The chang-moz I Talk to the Wind

これは驚きました。こう来たかと。プレイヤーは以下の3人。
Keyboard & Vocoder:橋元成朋、Drums:大光ワタル、Guiter:郷家儀行

カールパーマー的ロールが時々入るドラミングに、深いディストーションをかけてプレイするギターもクールですが、なんと言ってもキーボードアレンジとプレイが素晴らしい。この曲のライブ音源がいくつかアップされていましたが、私はこの音源が一番好きでした。

大活躍のキーボードプレイは、右手でボコーダーとパッド系及び矩形波のソロ。左手でバックのコーラス。ベースがいないので多分右足でペダルベース。イントロから通奏低音のように続くピコポコパコ‥‥という音は WaveStation なのかと思いましたが、他のライブ映像を見ると、シーケンサーでフレーズを作ってOn-Offコントロールをしてるようです。
普通は、キーボードをどう鳴らしているかなんて考えたりしないのですが、3人でこれだけ分厚い音を出しているとなると、どんなセットでどう鳴らしているのかつい想像してしまいました。


Men Of Medieval Ages?, Tallinn, Estonia 2018.8

この曲を分析しようかと思ったら、またまたとんでもないブログを見つけてしまいました。
For Creative Music
King Crimson -I Talk To The Wind
https://ravenriverradio.blogspot.com/2017/11/king-crimson-i-talk-to-wind.html

今は更新が中断されているようですが、連絡がとれればいいのに。
バースのコード進行譜面でも上げようかと作業を始めた時に、このブログを見つけ、ここまで分析されては何も書くことがなくなってしまいました。
イントロの4小節の進行がとても綺麗なので、そこだけコード進行を書いておきます。

E△7 → C△7 → G△7 → F#m7/B7

メジャー7thをくるくる回していくコード進行は時々使われます。
例えば、Falling Grace(Jazzスタンダード)の

Bb△7 → Eb△7 → Ab△7   (4度づつ上がっていく)

このタイプの進行は、1小節毎に転調していると考えられる(というか、人間の生理上そう聞こえる)ので、非常にさわやかで不思議、まるで宇宙に発散するように聞こえます。
ギターだとメジャー7thの押さえ方は色々あるので、組み合わせを変えて弾いてみると、たった4小節でもいろんなパターンがあって、1時間位楽しめてしまう。


Pikk St. Tallinn, Estonia 2018.8

この曲、ほのぼのとしていて単純な曲に聞こえるのですが、コード進行が意外に面白くて、クリムゾン1stの曲ということもあって数多くのカバーがなされていますが、最初にこういうアレンジを思いついたところが尊敬。一番面白かったです。chang-moz(橋元成朋)さんは、仙台をホームグラウンドに活躍されているミュージシャンですが、東京で演奏されているなら、1度、ぜひ聞きたかったと思います。

自分でアレンジして、21世紀版「I Talk To The Wind」を作ってみようかと思ったのですが、chang-moz(橋元成朋)さんのアレンジが耳にこびりついて、今はこれ以上のアレンジが思いつかない。
(原曲コピーは作りたくないし。)どうアレンジしても、有名トリックの2番せんじを使った推理小説を書いているようで、納得いかなくなるでしょうから、今回はここまでのRepriseで終了です。

元の曲が素晴らしければ、何年たっても新しい発見があるものですね。
久しぶりにこの曲を聞いたよ‥‥‥

Since 2012.9.23
プロフィール

Author:AKISSH
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休日は、You Tubeで好きな曲を見つけて
コピーしたり、カメラ片手に旅を。
世界中を歩いてみたいよ。
(このブログについて)
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(5th Anniversary)(その2;音源編)
(5th Anniversary)(その3;音源編)

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