Weekend In 心は L.A.

音楽と楽器、そして時々海外に

 

My Guitar Gently Weeps (16) Squier Fender 60th Anniversary Aztec Gold 2014

ギター好きの方ならフェンダーが10年毎に、ストラトキャスター生誕○10周年のモデルを出していることをご存知だと思います。1954年が最初の年だから、2004年にはオールドストラトデッドコピーの50周年モデルが出ていたのを記憶しています。枯れたサンバーストの美しいモデルでした。
こういう限定生産のモデルはギターマニアの心をくすぐるのか、売れ行きがいいらしく、当然、2014年には60周年モデルが出ました。それも何と4つのモデルが。


Squier Fender 60th Anniversary Aztec Gold (1) 2015.8

Fender 60th1954 American Vintage Strat
一番高価なのが、1954年レプリカモデル。
これは50周年モデルの仕様に似ている。柳の下よもう一度ということかな。

次に、Fender 60th Anniversary Commemorative Strat
これはよく見ると22フレット仕様だったりと、現代的な仕様になっているのが面白い。

3本目は、Fender 60th Anniversary Classic Player 50s Stratocaster
クリームにゴールドアノダイズドピックガードの美しいモデル。

Squier 60th Anniversary Classic Vibe 50s Strat in Aztec Gold
最後に、なんとスクワイアからシャンパンゴールドのストラト。
ブライトな金色の塗装がいかにも記念モデルというゴージャスな雰囲気です。

もともと、ストラト使いではないので、高価なレプリカモデルを所有するつもりはまったくなく、
しかも現在使用している、
My Guitar Gently Weeps (6) Fender Japan Stratocaster ST-80SPL/R 2002
が、かなり気に入っているので、当面のニーズにはこと欠かないのですが‥‥
発売から約1年、いろいろ紆余曲折はあったのですが、最後のSquier Aztec Gold Model を結局買ってしまいました。(笑)

ギター好きならSquierブランドは、Fenderの廉価ブランドで余り良いイメージが無いでしょう。
御茶ノ水あたりの楽器店には、Squierのストラトにミニアンプとシールドを付けて「初心者セット」と名をうって信じられないような価格で売ってたりするので。私のイメージもまったく同じで、さすがにSquierのギターは無いかなと躊躇していました。
しかし、この金色の塗装の美しさは。正直、上位の3本のギターも凌ぐ豪華さ。
もちろんサンバーストはストラト王道の良さがあるし、上位モデルのサンバーストは、3トーンはダサい絶対に2トーンだ、という私の主張にも合っているのですが。


Squier Fender 60th Anniversary Aztec Gold (2) 2015.8

買ってから、スクワイア製ということで若干の不安があったので、購入後、家でじっくり見てみました。
よく見ると、パーツもスクワイアの安物パーツではない。もちろん、フェンジャパの平均的な質感と同じくらいのものではありますが。限定生産品なので、多少利が薄くてもいいということで、通常のこのクラスのモデルよりも若干グレードの高いパーツを使っているのかも。
アルダーにメイプルという王道仕様も文句なしだし、フレットはミディアムジャンボという最近の仕様。
オールドストラトのレプリカもいいのだけど、あの細いフレットにきつい指板カーブだと、実はかなり弦高を上げないとチョーキングで音が詰まってしまう、ということはストラト好きなら誰でも知っていると思います。そのようなことが無いような仕様になっているのも嬉しい。
PUは、自分のモデルのテキサススペシャルに比べ、オールドっぽいというか枯れた味のするタイプで、これはこれでいい感じ。いわゆるストラトらしいタイプ。テキサススペシャルは現代的でかなりの高出力ですから。

このギター、実は今年になって入手したので、まだほとんど使ったことがありません。
ともかく定価7万円というリーズナブル価格でこの仕上げと音であれば、ストラト好きはもちろん、ギター好きとして持っていて損にはならない(と思います)。20万円以上するレプリカ記念モデルは、もったいなくてなかなかライブで弾く気にならないかも知れませんが、このギター、実は実践でバリバリ弾き倒すのにも向いているのかも。

なにより塗装は Aztec Gold ということで、なかなか写真写りが難しいのですが、実物はどの写真より美しかったことだけはご報告しておきます。ひざの上で抱えただけで幸せな気持ちになるし、ネックプレートの60周年の刻印もいいな。
別にコレクターとして買ったわけではないのですが、たまにはこういう買い方もいいよね‥‥
(家人がこのブログをみていないことを信じています。)


Squier Fender 60th Anniversary Aztec Gold (3) 2015.8

<仕様>
Color: Aztec Gold
Body: Alder
Neck: Maple
Fingerboard Radius: 9.5”
Fret Size: Medium Jumbo
Nut Width: 1.650”(42mm)
Pickup: 3 Custom Vintage-Style Single-Coil Strat
Hardware Finish: Gold
Laser Engraved “1954-2014”,60 Years Anniversary Neckplate

My Guitar Gently Weeps (15) Tokai HES-180 SR 2012 See Through Red

セミアコやフルアコ、いわゆる箱ギターを手にとって眺めていると、ソリッドの機能的な姿とは異なり、いかにも楽器という感じがして嬉しくなってきます。


Tokai HES-180 SR (1) 2015.1

以前、あちこち探し回って Ibanez AS 120を入手した経緯を書いたことがありました。(→ Ibanez AS 120)その時感じたのは、セミアコはともかく機種による音の差が大きいことです。エレクトリックギターは、アンプやエフェクターという楽器以外で音を決める要素が半分以上あることもあり、楽器の中では個体差が比較的小さいものだと思います。が、その中で、セミアコ、フルアコは個体差が大きい。やはり、ボディを共鳴させて音を作っていくということが原因なんでしょう。
ということで、Ibanez AS 120をずっと使っているうちに、別のセミアコに興味が沸いてきました。女性とお付き合いをしているのならこれは大変なことですが、ギターなら許してもらえるでしょう。

セミアコなら、やはり真っ赤のチェリーレッドにあこがれる人は多いのでは?
70年代にギターを弾いていた人なら、リーリトナーが真っ赤なES-335を弾いていたのを覚えているでしょう。Ibanez AS 120がサンバーストだから、次は絶対チェリーレッドだな。楽器として抱いた時にしっくりくる上質な作り。もちろん、何度も書きましたが、ネックは太くてしっかりしていること。


Tokai HES-180 SR (2) 2015.1

国産でこの条件を満たしていたのは、TokaiのHESシリーズとArchtop TributeのATシリーズの2つでした。Tokaiは、レギュラーラインのESシリーズとハイクラスラインのHESシリーズの2つがあります。Tokaiのギターはしっかりしているので、レギュラーラインで十分かと思ったのですが、ネックがESは薄手、HESは厚手とまったく異なるシェイプでした。ここは何の迷いもなくHESに絞る。

[SPEC] Tokai HES-180 SR

BODY : Flamed Maple Arched Top Flamed Maple Side & Back
NECK : Honduras Mahogany One Piece Set-Neck Head Angle 18°
FINGERBOARD : Rosewood 300R
SCALE : 625/312.5mm
BRIDGE : HLS-VB(Brass Saddle) Aluminum TailPiece
TUNERS : Gotoh SD90-SL
NUT(width) : Bone(41.0mm)
PICKUPS : PAF-Vintage MK2×2
FINISH : Lacquer Finish
Weight 3.6Kg


Tokai HES-180 SR (3) 2015.1

特に買う気は無いのだけど、時々楽器店に行っては、2つのギターをそれぞれのお店で弾き比べてみました。やはり音質が全然違う。TokaiのHESシリーズは、オールマイティでシャープ、FusionからFunk系もいけそうだし、オーバードライブやコーラスとも相性よさそう。一方、Archtop TributeのATシリーズは、甘くてトロンとした味。フルテンにしても出てくるのはJazzyな音。Jazzのソロをとるなら最高だ。同じセミアコでここまで違うのかと、驚きました。
(買う気が無いといいつつ、結局、その気で選んでます(笑))

どちらも素晴らしい音だけど、全然性格が違う。
美人で洋服のセンスもいいけど意外なところで寂しがりやな女性と、ふんわり優しげな雰囲気でニコッとした笑顔が忘れられない女性、これではどちらか一人なんて選べない。2人の女性のうちどちらを選ぼうか、なんて悩みは1生ないでしょうが、ギターではその選択に直面しました。
ここでふっと思い出したのが現在使用中のIbanez AS 120。弾きこんでいるうちに、柔らかくソフトで、歌伴にジャストフィットの音にこなれてきました。このギターもずっとこれから弾いていくとすると、これと性格の違うギターの方がいいな、弾くジャンルは結構幅広いし、と頭に浮かぶ。


Tokai HES-180 SR (4) 2015.1

そんなこんなで我が家にやってきました。
べったりした塗りつぶしの赤でなく、透明感のあるSee Through Redがうっとりするほど美しい。
やはり選択は間違ってなかった。
5年後、このギターでどんな曲を弾いているのかな‥‥

My Guitar Gently Weeps (14)  Fernandes Fretless Bass ひと夏の思い出


Fernandes Fretless Bass(1) 2014.2

ギターだけでなく、Bassも大好きなので、昔はプレシジョンやジャズベ(のコピーモデル)もあったのですが、現在は、以前紹介した Bass Collection SB451 /Padauk Soft Maple Oil Finish とこの2本だけが手元にあります。

フレットレスBassの音に魅せられたのはいつなのか。ジャコパスに度肝を抜かれた世代ですが、1970年代後半の空前のフュージョンブームの時期には、フレットレスを弾いていた人がとても多かったと記憶しています。PRISMの渡辺健さんもいたっけ。大学学園祭で一番注目していたバンドでは、1曲ごとにフレットレスとフレッテドのスラップと使い分けているベーシストがいて凄かったな。

音楽を再開した時、そんなことを思い出してフレットレスが欲しくてこれを入手しました。人前でこれを弾くことはほとんどないのですが、一人で弾いていてもやはりフレットレスの音にはうっとりする。ただ、フレットレスはたまに弾くくらいでは、なかなか正確なピッチが出ない、難しい楽器だと思います。
実は、この Fernandes Fretless Bass。いつどこでいくらで入手したのか、まったく記憶にない。
やはり、あのフレットレスベースのたたりかな‥‥
(以下、ひと夏の思い出‥‥‥遠い目)


Fernandes Fretless Bass(2) 2014.2

実は昔、どうしてもフレットレスを弾きたくて、フレットレスベースを作ってしまったことがあります。大学1年の夏でした。どこかの音楽雑誌にフレッテドをフレットレスに改造しよう、という記事が出ていたのがきっかけだった。雑誌の記事になるくらい、フレットレスベースががはやっていたんですね。

さすがに新品をいきなり改造する度胸はなかったので、グレコの中古ジャズベ(かプレベか記憶が定かでないが)を買ってきた。いよいよだ。

まずペンチで、フレットを全部抜く。
これが相当大変だった。フレットには、浮き上がってこないように逆向きの楔のようなものが根に付いているので、それに逆らって抜くとどうやっても指板の表面がささくれてしまう。少しづつ力を加えて抜いていく。最初の1フレットを抜くのに30分かかる。これが22フレットあるのか。8月初め、夏の盛りにこの無謀な試みを始めたので、当然作業は庭で行い、汗がだらだらたれてくる。

正直、1フレットで後悔が始まった。余程この1フレットをもう一度打ち込んで、中古で処分しようかと思ったけど、既に指板はささくれているし。
でも時間のある大学生は怖いもの知らずで、結局、全部のフレットを抜く。1週間近くかかったような。


Fernandes Fretless Bass(3)  Weight=3.7Kg 2014.2

ともかく、あとはフレットを抜いた溝を埋めるだけ。これは抜くよりはるかに簡単だろう。改造記事によれば、との粉(粘板岩を細かく砕いた粉)をエポキシ樹脂でといて、溝に充填していくとのこと。さっそくやってみる。なにしろ専門的工具がなにもないので、中々上手くいかない。粘度の高い「エポキシとの粉」を2mm程度の溝に充填するのは大変な手間がかかる。時間をかけていると、当然固まってきて、使い物にならなくなるし、1時間で5フレットも進まない。
でも時間のある大学生は怖いもの知らずで、結局、全部の溝を充填する。1週間近くかかったような。

記事によれば、エポキシは硬化するのに24時間以上かかるので、1日陰干しにしてそれから指板のやすりかけを始めたほうがいいとのこと。なるほど。気力の限界まで来ていたので、1日の休みは丁度いい。1日おいて指板にやすりをかける。3種類の荒さのサンドペーパーを買ってきて、順にかけたような。指板のRをどうしたかなんて完璧に忘れたが。メイプル指板の透明コーティングが、どんどんはげて生木の指板になった。

ともかく、半日やすりがけして、水ペーパーまでかけて、見た目綺麗な指板となった。もう8月も3週間が過ぎていたが、やっとこ完成か。すぐに音を出したい衝動にかられたけど、エポキシの硬化に時間がかかるとのことで、ともかく1日陰干しにして、それから弦をはることに。

翌日、いよいよということで、弦を‥‥
ん? 何か変だ。よく顔を近づけると、フレットの溝に充填したエポキシとの粉が、硬化する時に微妙に収縮して、フレットの溝がわずかにくぼんでいる。1mm位だけど指板に1mmの溝があっては楽器にならない。

結局、その1mmの溝に、再びエポキシとの粉の充填作業を始めることに。
フレットの溝は22あるので、ともかく時間がかかる。気力が半日も続かないので、2日に分けて作業をして、再充填完了。さらに半日かけて指板のやすりかけをして、再び1日陰干しに。さて、翌日いよいよということで、弦を‥‥


Fernandes Fretless Bass(4) with Active Circuit 2014.2

勘のいい人は、いやかなり勘の悪い人でも、この話の落ちに気がついたと思います。

ええ、陰干し後に指板には、また収縮した溝が出来ていたんです。
すぐに硬化して収縮してくれればいいのですが、硬化に時間がかかるらしく、充填してから2、3日すると収縮して溝が出来てくる。ここからは、これの繰り返し。
もう後に引けず、先にも進めず。
せっかくのベースを駄目にしたくない、なんとか完成させないとの思いだけでやりました。
最後は、脅迫観念にとりつかれて作業していたような。

結局、8月31日まで作業して、そこで打ち止めに。もう目で見てもわからなくなっていましたが、指で触ると溝がわかる。どうしても完全に平滑な指板にならない。
けど、完成!
もう、1生フレットレスベースの改造は止めようと誓いました。

当時、ギターとベースで別のバンドをやっていたので、ベースのバンドではこのベースで演奏しようと思いました。それなりにフレットレスの音は出ていたし。でも、フレットレスですべてを通すのは難しかった。技量も未熟だったし、スラップの曲(当時はチョッパーか)はそもそも演奏出来ないし。
何のために、ひと夏つぶしたのか‥‥


Fernandes Fretless Bass(5) 2014.2

後日談。
ライブ使用は諦めて、このフレットレスを部室で弾いていたところ、いい音だ、やっぱりフレットレスベースだ、うらやましいとしきりに感心する後輩あり。当時は(今も)フレットレスなんて、ほとんど売ってませんでしたから。
このベースをもてあましている雰囲気を感じ取ったのか、何日かフレットレスでの私の練習を聞いた後に、一言「私のギターと交換して下さい。」
ベースの音に惚れて、ベースに転向したいというようなことを言っていたような。

結局、後輩のギターと交換しました。改造元の中古ベースは、5万円しなかったので、額面上は得をしたのでしょうが、ひと夏のあの苦行はなんだったのか。(泣)
今気がついた、交換したギターが Burny RLG-90VOBS です、確か。

なんだか小説みたいになってしまいましたが、すべて実話です。
事実は小説より奇なり‥‥Fact Is Stranger Than Fiction

生まれて初めてギターリペアの巻(2)  By G.Tech Office  

さっそくリペア作業にかかる。スルスルと弦をはずしていく。
作業時間はどの位なんだろうか、最初は預けて後日引取りにという段取りかと思っていたけど、目の前で迅速にリペア作業をするのが西村氏のポリシーらしい。

「最初は、大手の楽器会社に勤めて、そこでリペア技術を学んだんです。師匠には、絶対お客さんの目の前で作業をするなといわれたんですけどね。人間だから、失敗した時、お客さんがいなければいくらでもリカバーできるので。」
ということは、目の前で作業をするというのは自信の表れですか?と口からでかかる。


工房でのリペア作業   2014.7

このお店の顧客は、プロが6~7割ということでした。ギターをお金をかけてリペアするアマチュアはやはり少ないようです。プロのこだわりの話しもいろいろ聞かせてもらいました。なるほど、アマチュアでは想像も出来ないな、という話もあって興味深かった。

「私とお客さん(筆者のこと)は同じくらいの歳だからわかると思いますが、僕らはフェンダー、ギブソンが憧れであり、理想のギターだったでしょ。」
うんうん、そうだった。

「そこが今のギター界の大きな勘違いなんです。フェンダーやギブソンは、一番良く売れている銘柄なので、メーカーの製造量も半端でない。だからいかに量産しやすいかという視点で製品を仕上げてある。工場のラインも、素人の工員誰がやっても一定水準のものが出来るような製造工程にしてある。つまり、フェンダーギブソンは、カローラやフィットみたいなものなんです。」

「買ってきてそのまま使うのでは、60点しか楽器の力を出していない。でも、フェン、ギブのどんな楽器を買ってきても 60-70点出せるというのは逆に言えばすごいこと。それは基本の設計がいいからです。だからわかっている人が調整して仕上げれば、数十万のギターと同じクオリティに持っていける。そういう意味では安心して買えるギター。」
「だめな楽器は、根本的な設計がまずっているので、どう調整してもまともなギターの音が出ないものも結構あります。」

一番気になっていたことを聞いてみた。
私の持ち込んだこのギター、調整度合いで言えば何点でしょうか?

「まず、音のよしあしは私は判断しません。音の好みは千差万別なので。私が判断するのは、楽器としての機能が発揮できているかどうかということだけです。」
「このギターの調子は60点位。普通に売っているフェン、ギブを買ってきてそのまま使っているのならそんなものでしょう。調整後の今は80点代半ばにはなっています。これ以上は、奏者がその音を感じ取れるか、どこまで良くしたいか、使い手の音を聞き分ける能力に合わせて100点に近づけることが出来るのです。」
それほど音に対して繊細な感性と能力がある訳ないので、アマチュアとしては80点以上で十分かな。


ナット調整  2014.7

ともかく作業中も話が続く。話が途切れた時に、こちらから話題を振ってみると、また話が続く。非常に興味深い話もあったのですが、すべてはここに書けません。リペアを依頼したお客さんのための情報という気もするし。といいつつ印象的な話をご紹介。

「フェン、ギブ以上のものに最初からするためには、わかっている人が最終的に1本ずつ仕上げていかなくてはいけない。でもそれは手間がかかりすぎて大量生産出来ない。最近は、最初から手作業で仕上がっているギターが、30-40万円クラスの中にはあります。ただ30-40万円でも、高いだけというギターもあるので要注意。値段に単純に比例していると思ったら大間違い。そこが難しいところです。」

「安いものには必ず理由があります。どこかに必ずコストダウンの工程がある。安いけど凄くいいというものは絶対にありません。ギターも工業製品なので、これは間違いない。」

何度か言われたのは、
「調整の程度は、持ち主がどの程度まで音を要求するかによって決まってきます。」
ということ。つまり平たく言えば、いい音を聞き分けられない人にとっては、高度な調整は意味がないということ。
「時速50kmでお買い物に自動車を使う人は、スーパーカーに乗っても良さがわからないでしょ。むしろフィットの方が使いやすく感じる、多分。」
そうでしょうね。

「初心者だと、ありえないようなギターを平気で弾いていたりする。買ってから一度もオクターブ調整したことない人なんてざらにいるし、トラストロッドを触ったことある人の方が少ないでしょう。」
「そういう方にはまず、ギターを上手くなって、それからギターのリペアを考えてもいいんじゃないとはっきり言ってしまいます。楽器のせいにする方がおかしいんですよね。」
この辺りまでくるとかなりシリアスな話に。でも確かにそうだ。
私の持論ですが、ギターの音は、腕:アンプ:ギター=5:3:2 ではないかと思ってます。

調整も最終工程に
「1フレット形を上部を丸くしました。見てもわからない?触ってみればすぐにわかります。ギブソンのフレットは、高さはあるけど、上部が四角いという奇妙な形をしています。絵に描くとよくわかるけど、弦の接点が変なところにあるし、チョーキングにもわずかだけど力がいる。フェンダーから持ち替えると、何か弾き難く感じる1つの原因にもなっています。」
「フレットスリあわせをする場合は、すべてのフレット断面をこのように手を入れます。音程感が微妙によくなってきます。」
書き忘れたが、何度も紙にいろいろな図を書いて説明してくれる。このフレットの話も初耳だ。
確かに1フレットは、他の手を入れてないものに比べ、丸く山形になった。


修正後の1フレット(上)と2フレット、断面が異なっている   2014.7

「出来ました。ちょっと弾いてみて下さい。」
いよいよだ。店内のアンプで弾くのかなと思ったら、生音でだった。多分、言えば使わせてもらえたでしょうが、そうなるとそのアンプ(使ったことの無い機種)の音を確認しているようになるので、生でよかったのかも知れない。

弦が指に吸い付くようにというのはこのことか。
一瞬、ゲージを1つ落として0.09にしたような感触。ともかく軽く触るだけで、6弦から1弦までぱらぱらとアルペジオが出来る。今まで弾いたギターの中でも一番弦高が低く、かつ安定してビレてない。これなら常用を0.11に変えてもいいかなと、今は思っているところです。

「ナット、ブリッジの溝調整で弦高が下がったので、まずは弾きやすくなっているのは確か。さらに音そのものが変わっているのだけど、家でいつものアンプで弾けばすぐにわかると思います。」
余りにも弾き心地が良いので、そこに気をとられてしまった。もともと自分のメインギターで弾きやすいギターだったのですが。

最後にちょっと嫌味だったかも知れないけど、調整による音の変化について、費用をかけたというプラシーボ効果というのも有るかも知れませんよね。と西村氏ぶつけてみた。ほとんど音は変わって無いけど、お金と手間をかけたということで、いい音になった気がするということ。私は昔オーディオに凝っていたので、こういう都市伝説はいやというほど経験している。
「持ち込んだ時と鳴りが明らかに違いますよ。アンプに入れればすぐにわかると思います。」
ともかく家に帰るのが楽しみだ。

なお、ハードケースの金具の修理(というか取り外し)は無償でやって頂きました。
ダイヤルロックの部分はすぐ壊れるんで、皆さんはずして使ってますよ、という言葉に安心。

13:30に入店して、ギターを抱えて店を出たのは15:30。
最初のギターのカウンセリングが約40分。ギターの作業と調整は話ながらゆっくりやって60分、私がギターをぱらぱら弾きながら、いろいろな話を聞かせてもらって20分。
最後は、私がそろそろ失礼しますと切り上げなければ、まだまだ話が続いたような。ここには、私の話し(返答)は余り書きませんでしたが、私も結構話したのでギター好きな奴だということで、いろいろ話してくれたのかも。最も、こういうお店に来る客なんて、ギターが何より好きという人ばかりでしょうが。

この日は、ある事情で、お客さんがこなかったのでこんな感じだったのでしょう。いつもこんなに空いている訳ではないでしょうが。西村氏の話し、ここを読んでどう感じられたかはわかりませんが、ここに書かなかった話も含めて、私はプロのギターの見方という意味でとても興味深く、参考になりました。この話を聞くだけでもお金を払う価値があるような。


Tokyo Billboard 2012.8

ということで、リペアは無事終了。
家でいつものアンプにつないでさっそく弾いててみる。音の粒立ちがあきらかに良くなった。言葉でいうのは難しいけど、いままでの音が直径5cmの球だとすれば、リペア後は直径1cmの音になったような。1つ1つの音ににじみが無くなったような気がする。弾き心地は、ほんとうに滑らかの一言。

数日後、ライブとセッションで、行きつけのお店でこのギターを弾く機会がありました。
1店はジャズコー、もう1店はフェンダーデラリバ。どちらもよく行くお店なので、アンプのなりも、店内の音の響きも熟知している。
1曲目、いきなり鳴りがよくて思わずボリュームを絞ってしまった。たとえが難しいけど、アルミの蓋をたたいていたのが、黄銅の蓋にかわったような音。ともかく開放弦の粒立ちはものすごい。残念ながら、フォークギターでないので、開放弦の音はほとんど使わないのですが。自宅では音の粒立ちがよくなったな程度でしたが、ある程度の音量と空間を通して聞くと、耳がそれ程良くない自分でも違いがわかる位、変化があったと思います。最初のギターリペア、お金を出しただけのことはありました。

プラシーボ効果ではないはず、何年も一緒にステージに上がってきた分身のギターだもの‥‥

生まれて初めてギターリペアの巻(1)  By G.Tech Office

My Guitar Gently Weeps (5) Gibson Les Paul Studio 2004 Oil Finish
で紹介したギターは一番使用頻度が高い。それだけに、フレットがだんだん削れてきて、見た目にへこみが目だってきました。まだ音には影響がないものの、いずれはフレット交換が必要になるかと考えていました。そんな最中、ハードケースの金具が壊れてしまい、持ち運びにも不自由するようになってきたので、思い切ってリペアショップに行くことに。30年以上のギター暦の中で、初めてリペアショップの門をくぐりました。

実は、金具が壊れてから、どこのリペアショップに行くかネットを探していましたが、2chなどでは、聞くに堪えないような話も書き込まれていました。ギターを無茶苦茶にされたとか、何万もぼられたとか。ああいう匿名ページは信用してませんが、大切なギターに万一のことがあっては取り返しがつかない。
結局、池袋のG.Tech Officeに決めました。といってもわからなければ、ギターマガジンでここ数年メンテの記事を連載している西村秀昭氏のお店です。いい加減な仕事をしていれば、ギターマガジンに文句が伝わり、何年も連載が続けられないはずだ、と推測してのことでした。


2014.7 街角の G.Tech Office

池袋駅から歩いて約10分。個人営業なので、ドアを開けると4畳半位の工房に。小さっ!
まずはフレットの状況を見てもらいました。いきなり交換までは行かないだろうけど、フレットスリあわせが必要なのか、いったいどの程度になればフレットを交換すればいいのか。さっぱりわからなかったのでプロにアドバイスをもらいたい。

しばらくギターを眺め、フレットを触り、出た言葉は、
「この状態でフレット交換をするのはありえません。新品のタイヤで半年走って、磨り減ってきたからタイヤ交換しようかなと言っているのと同じです。」
えっ?そんなもの?

「フレットは光った白っぽい金属で出来ているので、結構減っているように見えるけど、この程度なら高さの10%は絶対に減ってません。せいぜい数%のはず。ビレルとか音に悪影響出ていますか?」
いえ、音にはまだでてません。

「今の状態ですり合わせをしたいというのであればやりますけど、この程度なら10%も削れば跡形もなく綺麗になります。プロなら半年位でなる程度のかすかなへこみです。音に影響が無いなら、このままでいいでしょう。」
結構減っていて、そろそろやばいかと思ったけど、ほとんど問題にならないのか。

「ギブソンのフレット交換は6万円位とれて、ショップにとってはおいしいんです。この程度でも受け付けちゃうショップもあるんですよ。」
うっ、まるで風邪の患者に注射して、薬を3種類出すやぶ医者のような。
ともかく、フレットの心配がないのはよかった。


2014.7 店内(写真はすべて西村氏の許可を得ています。)

もう一つの今回の目的は、自分のギターの調子がどうなのか、プロに見てもらうこと。まったく自己流で調整してきたけど(ほとんどの人はそうでしょう。)、メインギターを一度プロの目で見て、調整具合のアドバイスが欲しかったのです。

自分の演奏スタイル、演奏する音楽、調整方法を一通り話してから、西村氏にギターをみてもらう。ともかく、いろいろなことを西村氏が解説してくれる。口調は、上から目線でなく、かといってお客様お客様というセールスマン口調でもなく、淡々とギターの話をしてくれる。私もかなりギターはいじっている方なので、話しているうちに、結構ギター好きな人間だというのが伝わったらしく、段々話が専門的になってきました。

「ネックは自分で調整してますか?」
ええ。

「ネックの状態はいいです。まったくそってないですね。持ち込まれるギターのほとんどはネックがそっていて、それが音に悪影響を与えているのでこれは珍しい。調整方法は正しいです。」
おお、プロにお墨付きをもらってしまった。
ネックは非常にこだわるところなので、これはよかったな。

「ナットとブリッジの溝が駄目です。手を入れた方がいい。」
きたっ!しかし、溝は自分で手を入れるのはほぼ不可能なので、買ったときのままだ。
もともとに問題があるということか。

「オクターブもそのために2弦があっていない。オクターブは12フレットだけで合えばいいというものでは無いんです。全体にあわせるためには、ナットとブリッジがしっかりしてないと難しい。」
これは気がつかなかった。6弦のうち5本は合っていたようだが。

「フロントPUを上げすぎです。これでは磁力で弦の振動に悪影響がでてきる。」
ここもよく雑誌に載っているけど、、どのくらいの高さがいいのか、正直良くわからなかったところ。

「弦が悪い。」
リペアにもって行くつもりで弦交換してなかったから、死んでいるということか。

「いや、弦の品質が悪い。どこのメーカー?」
一番ポピュラーな D社の弦です。

「それは使わない方がいい。あの弦は使用に耐えない。プロはまず使っていない。」
えっ!えっ?今回、一番のショックがここだった。
いままでずっと使ってきた D社の弦が悪いとすると、世の中の半分くらいのギターはどうなるの?
ここから弦談義が始まった。自分も驚いてかなり突っ込んだので、20分近く話していたかも。

「昔はもっとまともに作っていたのに、巻き弦の製造コストを下げるための改悪が行われたのが原因。安く市場に供給してシェアを拡大するのが目的で意図的にやったこと。だから D社の弦は、他社より2~3割安いでしょ。そのおかげでシェアは今は圧倒的。」
製造コストをどうやって下げたか、製造工程をどう変えたかも具体的に聞かせてくれました。まさか、こんな具体的な話を作って話すわけもないので本当でしょう。メーカー関係者は皆しっているとも言っていた。よく聞くと、巻き弦に問題が大きいということでした。


2014.7 Everly の Rockers

「ギターの中で一番大切な部品は弦です。ギターは、弦の振動を電気信号に変えて音を出す仕組みなので、弦の振動が綺麗でなければ、これ以降何をやってもいい音になるわけがない。」
確かに。車で言えばタイヤみたいなものか。

「うちではいろいろな弦を試して、今はこの弦が一番いいということで推薦してます。」
と、Everly の Rockersという見たことも聞いたことも無い弦を出されました。もしかして1セット2千円とか?と思って聞くと600円だとか。値段的には普通だ。割引提供と言われたけど、そもそもお店で見たこと無いし。

「1フレットだけが高い。ナットの溝に手を入れると、1フレットだけは手を入れなくてはならない。」
弦の話でボーゼンとしていた私に、最後の追い討ち。もしかして製造不良?

「いえ、これは量産するための工程でどうしてもこうなってしまう。これを避けるためには、手作業的な工程を1つ入れなくてはいけない。最近の日本製の高価なギターは、手作業的工程を入れているものもあるけど、ギブソン、フェンダーなどの大量生産のものは、皆こうなっています。」
ここも、どうして量産タイプはこういう問題が起きるのか、また具体的に話してくれた。

ここまでで診断終わり。既に入店してから1時間以上が経過。ともかく、ひたすら色々なことを解説してくれる。知っていたこともあったけど、実際のギターや弦の製造の話し、メーカーの商品戦略の話などは非常に興味深かった。

で、料金の提示。このお店には料金表がないので、ちょっとビビッていたのが事実でした。
「ナット、ブリッジ、1フレットを手を入れてから、各所調整で6200円。弦交換は600円。それに消費税です。フレットすり合わせどうしてもやりたいのなら1万6千円位だけど、音に影響ないというなら必要ないと思いますよ。どうしますか?」

正直、6200円が高いのか安いのかよくわからなかった。しかし、ここまで1時間話してもらった内容はウソではないと思ったし。買ったギターは必ずプロの手で調整してもらうという話も、セミプロの方から聞いたこともある。もともとそれが目的だったし思い切ってやってもらおうか。たとえ自分に音が聞き分けられなくても、これも勉強だ。7000円ならギター談義をしながら、食べて飲むのと同じくらいだし。(少し高いか。)

では、よろしくお願いします!
(続く)

2013.8 Vivid Summer Flowers


Since 2012.9.23
プロフィール

Author:AKI
.
休日は、You Tubeで好きな曲を見つけて
コピーしたり、カメラ片手に散策しよう‥‥
写真は私がとったものからです。
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