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Weekend In 心は L.A.

音楽と楽器、そして海外に

 

曲コード譜の耳コピーが出来るようになるには

バンドで新しい曲を演奏するとき、曲のコード譜を作る必要に迫られたことが楽器を弾いている人なら1度や2度はあると思います。ミーティングで、譜面が販売されてなかったら、この曲は止めようとか。そんな時、コードコピーが出来るようになりたいと思ったことありませんか?
アドリブソロをコピーすることもコピーといいますが(一般的にはむしろこちらか)、ここでは曲の譜面をつくるためのコードコピー能力を身につける方法を書いてみます。



曲のコードコピーは、普通、以下のような手順になります。

①まず曲の構成を調べる
曲を聞いて、イントロが8小節、Aメロが8小節、Bメロが8小節、サビが12小節、Bメロをもう1回やって終わり、計44小節の曲、ということを把握する。この時点では、コードがわからないので、5線譜に小節線だけ44小節書きます。リピートやD.S.、コーダの部分も小節線だけでよいので、原曲の構成そのままの譜面をつくります。
Jazzスタンダード曲なら、10分以上の曲でも32小節(の繰り返し)なんてものもあります。

②小節ごとにベースの音をとる
まず1小節ごとにベースの音をとり、続いてその他の音もとります。キーボードでとるのが普通でしょう。ギターは和音演奏に構造上の限界があるので、ギターでコードを取るのは非常にやりにくいです。不可能ではないですが。
例えば、ド、レ、ミをギターで同時に発音させることはできますか?出来ないでしょ。
(レを1オクターブ上げてはいけません。それは別のボイシングになってしまいます。)
(ピアノの分数コードはギターで演奏不可能なものが多い。最初からキーボードでとった方がいいです。)

③とった音からコードを確定する
まずベース音をとって、それがレならコードはDなんとかになるはずだ、ということで、今度はメロディ楽器の音程をとって、メジャーかマイナーか、7thが鳴っているか、テンションは何だ?とあてはめていき、最終的に例えば Dm11 だ、で1小節のコピー終了です。



以上を曲の終わりまで繰り返すのですが、実際は、44小節の曲を、小節ごとに44回この手順をこなすことはありません。(リピート部分は勿論、省略できますが、それ以外も)
コード進行は、アトランダムにコードが出現する訳ではなく、普通よくつかわれる進行というのは大体決まっています。ここで、『コードコピーには音楽理論の理解が不可欠』となるわけです。

音楽理論というと難しく聞こえますが、コードコピーで使う能力はわずか2つのみ。
①コード進行の定石を知っていること。
②耳で聞いた音とコードが1対1対応できること。(ポピュラーでは絶対必須)

①は、ロック、ポップスから楽器に入った人なら、FやらG7やらを中学生の頃から見ているでしょうから、無意識に半分くらいは理解できていると思います。音楽理論というと、スペイン語を習うがごとく最初からあきらめている人が多いですが、①だけなら量はそれほどではありません。音楽理論は人間が作った後付けの理屈ですから、センスとか感覚は関係ありません。理屈を覚えるだけです。私もいつの間にか概ねマスターしました。

②は、どこかの時点で集中的にそういう訓練をすることです。楽器を弾いている人なら①よりずっと簡単なはずです。



もう少し具体的に書きます。まず①。

問1;以下のコード進行になっていた時に?のコードは何か。
(音源無しですが、この5小節で一段落する終止感のある進行だと思ってください。)

l Em7 l A7 l ? l G7 l C l (Key=C)

これが1秒以内にわからなければ、楽器でコードの音を拾うより、理論を勉強した方が早いです。
コードコピーをやっている人で、上の進行の時に?コードの音を拾う人は1人もいません。
この5小節は1音もとらなくても、上のコードが書けるはずです。

問2;AメロやBメロの終わりは、大体以下のコード進行になっています。いわゆるツーファイブです。

l Dm7 l G7 l C l (Key=C)

この感じに似た終始感なのだけど、ベース音をとると2小節目がDbになっている。
下の?コードは何か。

l Dm7 l ? (Bass=Db) l C l (Key=C)       

これも同じく1秒以内にわからなければ、まず理論を勉強すべきです。
こんなところまで音をとっていたら、1曲コピーするのに何日もかかってしまいます。

②コード音感
ポピュラーでは、テンションを除けば9割位は、以下のどれかのコードで出来ています。

C、CM7、C7、C7sus4、C7(b5)、Caug、Cm、Cm7、Cm7b5、Cdim  これで丁度10個。

コード音感の能力は2段階あります。区別できることと、どれだかわかること。

第1段階、この10個の区別が聞いてわからなければ、楽器を弾くのは残念ながら難しいと思います。
フォークギターをじゃかじゃか鳴らす程度でしょうか。

第2段階は、違うと感じるだけでなく、コードが単独で鳴った時に「これはCディミニッシュだ。」(ルートは一定として)、とわかる能力です。この10個のどれかがなった時、1つでもわからないコードがあるならコードコピー以前の問題です。
まず徹底的にコードの響きを体に染み込ませて下さい。
最終的に、この10個と各コードの展開形(ボイシング)、テンションコード、分数コードで、概ねポピュラー曲は対応できるはずです。

③コード音感を付けるための聞き方。

楽器ごとに音を聞けるようにしましょう。1つの曲を、まずベースの音だけ聞くに始まって、ピアノの音だけ、ギターの音だけ(最初は楽器の数が少ないものを)。譜面に落とす必要はなく、楽器ごとに頭の中で一緒に歌えるようになればOKです。何十曲もやる必要はなくまず数曲集中して。最初は曲全体しか聞けなかったのが、訓練すると特定の楽器の音だけが、浮き上がって聞こえてくるようになります。
楽器の音を別々に聞けるようになると、どの楽器がコード感を支配しているかが分かってきます。
いつもボーカルのメロディーだけ聞いてます、ではいつまでたってもコード音感は身に付きません。



最後に、曲のコードコピーが出来るようになりたい方へのスモールアドバイス。

【1】曲は必ずまともなヘッドフォンで聞きましょう。録音された音、特にベースの音程を正確に聞き取れない環境ではコードコピーは無理です。1曲をコピーするために3時間ヘッドフォンで聞き続けるというのは、ごく普通のことですから。楽しむための聞き方とは根本的に異なります。

【2】曲を聞く時に譜面を見ながら聞く癖をつけましょう。いつも譜面を見ながら聞いていると、電車の中でウォークマンで聞いていても、譜面が頭に浮かぶようになります。曲を聞きながら、(個別のコードはわからなくても)この曲の12小節のサビがいいなあ、と思えるようになれば、コードコピーまでかなり近づいてきています。

【3】コードの取り方は人によって癖がでます。コードに強い他のコード楽器の人(自分がギターならピアノの人がベスト)と1つの曲のコードを別々にとって、それを突き合わせるのが一番いい。そんな人と一緒にバンドを組めればめきめき実力が付きます。私は大学の4年間、この方法で身につけました。
(譜面本でもコードの照合は可能ですが、色々な人が採譜していて取り方が様々だし、なぜそういうコードにしたかという考え方が聞けないので。)

【4】作曲された時代によって、コード進行の複雑さが全然違います。当然、最初は易しい曲から始めないといきなり挫折します。最近のJ Popは、コード進行が非常に複雑なものが多いのでやめましょう。1970年代前後のロックポップスあたりが一番容易です。

【5】「なるべく楽器で音をとらないでコードコピーできるようになる」、というのが最終目標です。
曲のコードコピーを出来るようになりたいなら、このために何をすればいいか、と考えるのが近道です。

今回は、上から目線みたいな書き方になってしまいましたが、お許し下さい。
やっていればそのうち出来るようになりますよ、という根拠のない楽観論を書きたく無かったので。
(ネットで検索して、そういう記事がとても多かったので。)
楽器を弾いているだけでは、いつまでたってもコードコピーは出来るようになりません。でも出来るようになれば、音楽を主導的に楽しむことができます。CDやYoutubeを聞いていても、好きな曲を自分で演奏してみることが出来る訳ですから。

自分の好きな曲の譜面を自分で作ってみたい‥‥‥と思いませんか?

Lyle Mays Passed Away 2/10 2020、一番好きだったピアニスト

一番好きなピアニストが亡くなった。
自分にとっての一番は、ビル・エバンスでもキース・ジャレットでもなくライル・メイズ。


           R.I.P. Lyle Mays (1953-2020)

出会いは、1978年の「Pat Metheny Group (思い出のサンロレンツォ)」。
リアルタイムで聞き、周りの音楽友達、特にギタリストは皆、Pat Methenyにぶっ飛んだ。朝から晩までこのアルバムを聞く中で、ピアノの Lyle Mays の音は、なんて透明で素敵なんだと耳から離れなくなりました。

このブログを初めてわずか1か月目の記事に書いたとおり、この1枚はその後の自分の好みを決定付けたと言ってもいいでしょう。自分はピアノプレイヤーではないので、ライルの演奏を分析することは出来ないのですが、メセニーのギターには無くてはならないピアノだった、それだけは間違いないでしょう。

一番とか最高とか、安易にレーティングするのは好きではないのですが、彼ら2人の最高傑作は The First Circle だと思っています。もちろん自分にとって。大作なので、カバーをすることは諦めているのですが、この最高傑作についてもそのうち書いて見たいと思います。


Pat Metheny and The Metropole Orchestra (2003) ~ First Circle
Lyle と Pat 以外の演奏で、この The First Circle が一番好きです

ライルが亡くなって一番悲しんだだろう、 Pat Metheny の追悼の言葉。

“Lyle was one of the greatest musicians I have ever known. Across more than 30 years, every moment we shared in music was special. From the first notes we played together, we had an immediate bond. His broad intelligence and musical wisdom informed every aspect of who he was in every way. I will miss him with all my heart.”

「ライルは世界で一番素晴らしい音楽家でした。30年以上に渡り一緒に作りだした音楽は、何物にも代えがたいものだった。2人で演奏した最初の一音から、僕たちは強固な絆で結ばれ、彼の奥深い才能と音楽的知識は、世界中に彼が最高の音楽家だったことを伝えたでしょう。冥福を祈ります。」
彼のWebsite(https://www.patmetheny.com/)より

The First Circle が鳴りやまない。

心からご冥福をお祈りします。




Movie 2019 今年見た映画たち

毎年恒例の1年振りかえり映画の感想を、令和元年最後の記事にします。
映画に一家言ある訳でもないので、どれも超個人的感想ということで。
(映画館か海外への機中で見たものに限っています。)

(1)ちいさな独裁者(実話もの)
→WW2終末のある戦場で、脱走兵がドイツ士官の制服を手に入れ、どさくさの中でワンマン指揮官になってしまうという恐ろしい内容。ドイツ映画ということで一層重苦しかった。

(2)グリーンブック(実話もの)
→時々見かけるアメリカの人種差別テーマの作品。いかにもアカデミー賞好みの作品です。(アカデミー作品賞受賞)最初の15分で結末まで想像出来てしまうところもお約束。瓜二つと言われる『ドライビング Miss デイジー』の方が、私は好みかな。

(3)バイス(実話もの)
→U.S.副大統領ディック・チェイニーのお話し。アメリカ現代史(イラク戦争~9.11あたり)に興味がないと、そもそも話がピンと来ないかもしれません。奥様役のエイミー・アダムスの印象が一番でした。さすがアメリカと思ったのは、本人が存命中にこういう映画を作ってしまうところ。

(4)Lion 25年目のただいま(実話もの)
→インドの田舎で5歳で家族とはぐれてしまった子供が、オーストラリアに養子に出て、25年ぶり探し続けた田舎に戻って実母と再会したよ、という物語。これだけで既に感動作となり得る訳ですが、主演のサルー(デブ・パテル)と周囲の人たちがとても暖かく、見ていて胸が熱くなるような作品。

(5)パディントン
→熊さんが英国で右往左往するほのぼの映画。こういう映画は余り教訓くさくない方がいいですね、ほのぼのした感じで。飛行機の中で見るには丁度よかった。



(6)7つの会議
→池井戸潤の原作は、だいぶ前に読みました。私は、主演の野村萬斎は大分原作のイメージと異なっていました。原作が面白いから見れる映画にはなったということか。

(7)運び屋
→クリント・イーストウッド監督の映画は、人物の描き方がどこか共通したテイストを感じます。
「15時17分、パリ行き」「アメリカン・スナイパー」などの近年の傑作に比べてしまうと今一歩だったかな。

(8)光のお父さん(実話もの)
→ファイナルファンタジーXIVを巡る父と息子の物語。実話ブログの映画化で、TVドラマにもなりました。さすがは演技派、吉田鋼太郎。ネットゲームというものをここまでうまく描いたものは、今後も無いだろうという邦画の傑作だと思います。

(9)Penguins
→生まれて初めて陸路で国境を越えた時に、バスの中で見ていたアニメ映画。リトアニア語版しか無かったので完璧わからず。それでも映像で笑えたところはありました。

(10)Pet2
→これも陸路移動中に。こちらは英語版だったのでほぼわかりました。日本の英語教育はまるで役立たない、なんてことはないですね。

(11)レッドスパロー
→ロシア内部のスパイ養成を描いた、ダークな映画。作成はU.S.なのがなお面白い。ヒロインのジェニファー・ローレンスが氷のように怖く美しい。これにつきます。美しさだけでなく他の作品でも演技力が評価されていて、大女優になる予感。

(12)Mr.&Mrs スパイ
→お隣にスパイ夫婦が引っ越してきた、巻き込まれ型のドタバタコメディ。ガル・ギャドットという女優さんは知りませんでしたが、人間離れした女神像のようなランジェリー姿に度肝を抜かれました。(元イスラエル軍人らしい。)映画自体はC級でしたけど。

(13)ロケットマン(実話もの)
→ご存じ、エルトンジョンのバイオグラフィー的作品。他の音楽映画に比べて、曲の魅力が少し弱い。
やっぱりYour Songの人ですね。

(14)天気の子
→チケットを2人分頂いたので見に行きました。若気の至りの反発精神とほろ苦いラブストーリーに感動するには、少し歳をとりすぎているな。



(15)ホテルボンベイ(実話もの)
→最近は、もはやスタンダードとなった実話事件もの。ホテル内の無茶苦茶なテロが再現されている。こんな大事件が日本でほとんど報道されなかったことが不思議。このホテルが実在して、今でも泊まれるということに感動。

(16)ジョーカー
→控え目に言って傑作。映画館から出た時に言葉が出なかった。

(17)ターミネーター・ダークフェイト
→見にいくまい、いくまいと思いつつ結局行ってしまった。もう話の辻褄はどうでもいい。主演の2人の若手女優が予想をはるかに超える熱演で、シュワ&サラコンビをはるかに凌いでいたのが救いでした。

(18)イエスタデイ
これは単独で記事を書きました(→こちら)。本当に爽やかな音楽映画でした。

(19)アド・アストラ
→ブラピってそんなに人気があるのですか?近年のSF映画の傑作「インターステラー」と比較されるらしいですが、足元にも及ばなかったと思います。

(20)アルキメデスの大戦
→日本の戦争映画で感心した作品はほとんどなかったのですが、これは面白かった。戦闘場面が無くても(冒頭あるけど)これだけ惹きつける戦争映画は珍しい。助演の柄本佑、好きでもなんでもない俳優さんだったのですが、この映画の演技は素晴らしかったですね。



今年の傑作は何と言っても「ジョーカー」。
これは、バットマン映画。映画に興味が無い人はご存じないでしょうが、最近のバットマン映画にはバットマンなんて出てこない。色々な監督が自分の解釈でこの土俵に参戦して新たな作品を作っています。
「ジョーカー」という名前でなければ、これ実話?と思ってしまうようなリアリティ。ニューヨークの暗部で起こった日常の狂気とやりきれなくなるほどの出来事。アカデミー賞の好みの作品ではないので作品賞はとらないでしょうが、主演男優賞は確実でしょう。

次点で、ホテルボンベイとイエスタデイ、あと光のお父さんも。

いつの間にか、私のブログも8年目に突入しました。
今年も、本ブログに遊びに来て頂きありがとうございます。
コメントを頂いた方は、さらに5倍位ありがとうございます。
来年も、「Weekend in 心は L.A.」をよろしくお願いします。

令和がいい時代になりますように、よいお年を‥‥‥

映画 Yesterday  心底、爽やかなパラレルワールド

11月に、映画「Yesterday」を見てきました。
TVでもCMが流れたので、音楽好きの人なら見ていなくてもご存じでしょう。
自分1人しかビートルズを知らないパラレルワールドに、主人公がスリップしてしまったというお話し。音楽好きなら誰しもちょっと興味がありますよね。

抜群に面白かったし、心底爽やかな映画でした。



振り返ってよかったなぁというところ、

[1]ビートルズが登場した1960年代ではなく、現代の物語にしたところ

ちまたの映画評にもちらちらとありましたが、音楽好きの自分にとってここが一番の見どころでした。
ビートルズの曲の素晴らしさは言わずもがなですが、あのサウンドが一世を風靡したのは、あくまで1960年代の音楽シーンにおいて革新的だったから。では、今、純粋にビートルズを知らない人は、あのサウンドを聞いてどう感じるか?

ここの描写がなんとも言えない。
CMでは、相当はしょっているのでわかりませんが、それまで売れないミュージシャンだった主人公が、ある日ビートルズの曲を歌った、素晴らしい!大ヒット!とは決してなってないのですね。
主人公がミニライブ会場でビートルズの曲を歌っても、別にうける訳ではない。ちょっと気の利いた曲と言う感じで、歌わせてはもらえるけど。しかし、それを聞いたプロミュージシャンや業界人は、即座に反応してくる。このさじ加減は絶妙でした。

ブレイクしてからも、21世紀の商業ロック界の中では、あくまで金を生み出す素材としか扱われない。「アビーロードを歩いて渡るジャケット?Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandというアルバム名?そんなんじゃ売れないよ。」と主人公の提案はあっさり却下。
あんたは歌だけ歌っていればいいの、金儲けは我々が考えるから、という気持ちいいまでの現代的割り切り。(あの女傑マネージャーが最高だ。)



一方、ギター弾き語りの Yesterday や ピアノ弾き語りのThe Long And Winding Road は、一瞬で周囲を凍りつかせる描写。Yesterday の場面はCMにもあったのでご存じかも知れません。

The Long And Winding Road の場面は、実在ミュージシャンのエドシーランが絡んでいて、私はこの映画で一番好きなシーンでした。(ネタバレしないので、実際に見て欲しい。)
これ演技でなくてドキュメンタリー?と言いたくなるような、胸がつまるような場面。
実際にはありえない状況なのに。

1960年代のサウンドを再現しただけでは現代では大ヒットにはならない、という面と、やっぱりビートルズの曲は不滅だよね、という面をベストミックスしてあるので、音楽好きが見ても、自然に受け入れられる映画になったと思います。

[2]主人公(ヒメーシュ・パテル)のボーカルが上手い!

音楽映画、それも実話ものの常として、誰が歌うかという問題があります。演奏ものなら、プロ奏者を引っ張ってくればいいのですが、ボーカルは絶対違和感が出てしまう。
この映画でも、イエスタデイは当初、口パクにポールの歌を載せる予定だったとか。絵とりの時にヒメーシュ・パテルに仮に歌わせて、余りに素晴らしかったのでそのままOKテイクになったとか。
(ここの場面が素晴らしい。)

全体はコメディ映画でかなり笑えるシーンが多いのですが、主人公が天然ボケなのが妙にはまっている。ここまで情けない感じを出せるとは。これを機にブレイクするんじゃない?

カリスマ性のかけらもないけどボーカルはほんとにいい。パンク風味の演奏が最高のHelp は、その歌詞がぴったりはまる場面で心の叫びだ、あのボーカルは。ビートルズのコアなファンもきっと納得しているでしょう。



[3]主演の2人が、ともかく爽やか

ヒメーシュ・パテルの彼女兼友人マネージャーの、リリー・ジェームズがこれまた最高。
いかにもアメリカの田舎のちょっと冴えない普通の女の子、という雰囲気がぴったりはまっている。
2人のラブストーリーは、友達以上恋人未満の幼馴染が‥‥‥というどこにでもある話で、最後の結末も、映画開始15分には予想がつく位のお約束です。ラブストーリーが主題ではないので、わざとお約束にしたのでしょう。その2人が余りに爽やかで、ともかく気持ちがいい。

ほぼヒロインのリリー・ジェームズ。知らなかったので検索してみると、凄い美人で驚いた。
なにしろ実写版「シンデレラ」の主演女優ですから。それがこうなってしまうなんて、さすが女優だ。
彼女の今までの出演作品の中で一番輝いていた、と何人もが書いていました。うん、そうだと思う。
間違いなく、この作品の価値を何割増しかにしてくれました。

私は、映画評論できる程映画に詳しい訳ではないので、良くなかった点なんて探すつもりもありません。
最近は実話ものが多く、見た後にやりきれなくなる映画も多いのですが、これは心底楽しかったよ。

もう1度、見にいこうかな‥‥‥

(追記)サウンドトラックがYouTubeに上がっていました。映画のサウンドそのものではなく、サウンドトラック用に別録したものなのが残念でした。やっぱり、映画で聞いて欲しいです。

メインテーマ of 白い巨塔(上)3度のリメイク

さる5月にTVドラマ「白い巨塔」を見た方もいるのでは。
聞いた事も無いという人はいないと思いますが、大阪大学医学部をモデルに、そこの財前五郎助教授の医学部教授選をめぐる人間模様と教授就任後の医療訴訟の2つのテーマが、まるでドキュメントのように描かれた小説です。

山崎豊子作の原作「白い巨塔」は、これまで読んだ小説の中で一番深く感銘を受けた(端的に言って一番面白かった)小説かも知れません。原作は、「白い巨塔」と「続白い巨塔」の2部からなっていて、多分、1500ページを超える大長編だったと思いますが、何回読んだかな?学生時代から少なくとも5回は確実に通して読んでいるはず。もう本はどこかにいってしまいましたが。



歴史に残る小説らしく、エピソードにも事欠かない。
最初、原作は「白い巨塔」1冊で終わる予定でした。買収工作や対抗馬つぶしとあらゆる手段を使って、紆余曲折の末、財前五郎助教授が教授のポストを射止めるという内容。端的に言って、悪が勝つ。これが日本人のマインドに合わず、山崎豊子のところに手紙殺到。(今で言えば、ネット炎上ということか。)
山崎さんも出版社もまいったのか、予定のなかった続編を書き、財前教授が自分のミス?で医療訴訟の被告となり敗訴し、自分も癌で死ぬという結末にした。続編が発表されるまで3年もかかったのが、山崎豊子が悩んだ証拠でしょう。

このドラマ、連続TVドラマとしては3度目のリメイクとなります。
(映画や単発ものを入れると6回ということになるとか。)

第1回目 1978年、全31回。主演;田宮二郎
第2回目 2003年、全21回。主演;唐沢寿明
第3回目 2019年、全5回。主演;岡田准一

41年ぶりというと非常に長く思えますが、1人の人間がリアルタイムでみられる長さともいえる。実際、私は3回とも全部見ていますし。3度のリメイクは、時代を超えて原作が優れていた証拠でしょう。

リメイクの比較論争を読むと、リメイクの常として、第1回が最高だ、段々質が低下しているという批評がほとんどのようです。これは、後発にとって少し辛い。
ここまで有名な原作ともなると、筋を知った上でみる人が大部分となるため、TVドラマの宿命として、後発ほど簡略化した描写にしないといけない。リメイクするごとに、短い時間で楽しめるドラマにしなければというプレッシャーがかかるのですから。



3回のリメイク、それぞれに良さがある。で収めたいと思ったのですが、やはり3つを見ると比較したくなります。今はYouTubeで過去作も見られる便利な時代ですから。(第1回と第2回は現在視聴中で、どちらもまだ半分も行ってません。ともかく長くて。)その作品自体の評価というより、あくまで令和の時点で見た時の評価です。

①筋運び   第1回 4/5→5/5  第2回 5/5→4/5  第3回 2/5  (5点満点)

第1回は、昭和のドラマらしくさすがに冗長な部分があります。毎回タクシーの中で財前五郎が同じことをつぶやいたり、宴会シーンが続いたりとか。第3回は逆に、どう考えてもすっ飛ばし過ぎでしょう。教授選の手段を選ばないあの手この手ががっさり削られています。
(追記)昭和バージョンを全部見返して、平成バージョンを見始めたところで評価を変更しました。昭和バージョンの真綿で首を絞めるような筋運びは、少々まだるっこしいけどそれだけに怖い。それに比べて平成バージョンは、誰が見てもわかりやすい筋運び、いかにもTVドラマだねという。10回余計に使えるのだから、そりゃ余裕の描写ができるよねということでしょう、今の製作陣がみたら。単なるノスタルジーでなく、やはり昭和バージョンは凄いよ。不朽の名作です。

②キャスト  第1回 5/5  第2回 4/5  第3回 3/5  (5点満点)

第1回を見て驚くのは、役者さんが非常に歳をとってみえること。原因は多分2つ。役者さんの平均年齢が多少違うのに加えて、同じ年齢でも見た目の若々しさが全然違う。昔の60歳は、おじいさんという感じですが、今の60歳(特にTV俳優さん)は少し歳いったな、程度の感じ。やはりこの40年間で平均寿命が延びたのですね。

そういう意味で驚くのは、第1回の田宮二郎が、若々しいし長身でかっこいい。
(当時42歳。ちなみに唐沢寿明40歳、岡田准一38歳)
本人が、どうしても財前役をやらせて欲しいとTV局にも、山崎豊子にも直訴しただけあります。
(さらに放映中最終回前に自殺。精神的な病だったそうですが、燃え尽き症候群の究極の姿という気がしてならない。自殺をニュースで聞いたのは、今でもくっきり覚えています。)
第1回のキャストの評価が最高な理由の半分は、田宮二郎が財前五郎役だったことだと思います。



比較とは別に面白いのは、時代の違いを映像で楽しめること。
財前五郎の愛人の花森ケイ子は、銀座の高級バーのホステス、当然、財前は時々花森ケイ子の家に行くのですが、そこが今の感覚でみると大学生の下宿みたいな家。昭和50年代ってそんな大昔ではなかったと思いますが、世の中ってあんな感じだったっけ?

第1回では、東教授の娘が東教授(父親)に敬語で話しているシーンが何の違和感もない。
同じシーンが第3回では、タメ口とは言わないまでもごく普通の会話。

また、原作の時代設定(1965年)からみて当然ですが、特進患者(お金持ちの紹介患者)が、現金束の封筒を謝礼で教授に手渡すシーン。今では少なくとも国立大学ではありえない。国立大学の教授(みなし公務員)が、現金の謝礼を受け取っているのが発覚すれば処分は確実ですから。(当然、第3回ではこのようなシーンは無い。)

細かい部分を書きましたが、今回、自分が一番驚いたのは、悪役=財前五郎を軸とした物語がそうは見えなくなっていたこと。事の発端は、財前助教授の腕に嫉妬した上司、東教授の行動でしたが、どうみても東教授が問題でしょ。自分のポストにしがみついている退職直前の上司が、嫉妬を理由にパワハラ加えて大騒動にして。
確かに、財前五郎も野心家で傲慢な人に描かれていますが、現実の社会でこの程度の人は沢山いる。もっとひどい人も全然珍しくない。この程度の野心を持たなければ、組織では上に上がっていくことなど無理ともいえる。40年の間に、社会でもまれて見方が180度変わったのには、自分でも驚きました。



やはり、白い巨塔を語り出すと止まらないくなりました。やっと音楽の話に戻します。
第1回のドラマでは、毎回、最初のシーンが主任教授の総回診(病院の大名行列)から始まるのですが、そのテーマ曲が素晴らしかった。今回、YouTubeで見返して、ああ、毎回この曲をぞくぞくしながら聞いたよというのが、一瞬にして思い出されました。
ということで40年ぶりに、思い切ってコピーしてみました。まずは曲を聴いて下さい。
(PCから開かないと、聞けないようです。)







作曲は渡辺岳夫さん。当時は知りませんでしたが、TVドラマ,アニメ、映画などの主題歌、BGM等の大御所かつ元祖の方。昭和40,50年代のTVドラマの音楽クレジットには大抵名前が入っていると思います。
フランスでクラシック音楽を勉強された方なので、作曲も、きちんとしたオーケストレーションがなされていることが多く、この白い巨塔のテーマ曲は、結果的に渡辺岳夫さんの代表作となったと言ってもいいと思います。

少し回が飛ぶかも知れませんが、この次は、この曲の中身をみてみます‥‥‥
(長くなりすぎたので、譜面は次に回します。)

Since 2012.9.23
プロフィール

Author:AKISSH
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You Tubeで好きな曲を見つけコピーしたり、
地図とカメラ片手に旅を。
世界中の街を歩いてみたいな。
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