Weekend In 心は L.A.

音楽と楽器、そして時々海外に

 

生まれて初めてギターリペアの巻(1)  By G.Tech Office

My Guitar Gently Weeps (5) Gibson Les Paul Studio 2004 Oil Finish
で紹介したギターは一番使用頻度が高い。それだけに、フレットがだんだん削れてきて、見た目にへこみが目だってきました。まだ音には影響がないものの、いずれはフレット交換が必要になるかと考えていました。そんな最中、ハードケースの金具が壊れてしまい、持ち運びにも不自由するようになってきたので、思い切ってリペアショップに行くことに。30年以上のギター暦の中で、初めてリペアショップの門をくぐりました。

実は、金具が壊れてから、どこのリペアショップに行くかネットを探していましたが、2chなどでは、聞くに堪えないような話も書き込まれていました。ギターを無茶苦茶にされたとか、何万もぼられたとか。ああいう匿名ページは信用してませんが、大切なギターに万一のことがあっては取り返しがつかない。
結局、池袋のG.Tech Officeに決めました。といってもわからなければ、ギターマガジンでここ数年メンテの記事を連載している西村秀昭氏のお店です。いい加減な仕事をしていれば、ギターマガジンに文句が伝わり、何年も連載が続けられないはずだ、と推測してのことでした。


2014.7 街角の G.Tech Office

池袋駅から歩いて約10分。個人営業なので、ドアを開けると4畳半位の工房に。小さっ!
まずはフレットの状況を見てもらいました。いきなり交換までは行かないだろうけど、フレットスリあわせが必要なのか、いったいどの程度になればフレットを交換すればいいのか。さっぱりわからなかったのでプロにアドバイスをもらいたい。

しばらくギターを眺め、フレットを触り、出た言葉は、
「この状態でフレット交換をするのはありえません。新品のタイヤで半年走って、磨り減ってきたからタイヤ交換しようかなと言っているのと同じです。」
えっ?そんなもの?

「フレットは光った白っぽい金属で出来ているので、結構減っているように見えるけど、この程度なら高さの10%は絶対に減ってません。せいぜい数%のはず。ビレルとか音に悪影響出ていますか?」
いえ、音にはまだでてません。

「今の状態ですり合わせをしたいというのであればやりますけど、この程度なら10%も削れば跡形もなく綺麗になります。プロなら半年位でなる程度のかすかなへこみです。音に影響が無いなら、このままでいいでしょう。」
結構減っていて、そろそろやばいかと思ったけど、ほとんど問題にならないのか。

「ギブソンのフレット交換は6万円位とれて、ショップにとってはおいしいんです。この程度でも受け付けちゃうショップもあるんですよ。」
うっ、まるで風邪の患者に注射して、薬を3種類出すやぶ医者のような。
ともかく、フレットの心配がないのはよかった。


2014.7 店内(写真はすべて西村氏の許可を得ています。)

もう一つの今回の目的は、自分のギターの調子がどうなのか、プロに見てもらうこと。まったく自己流で調整してきたけど(ほとんどの人はそうでしょう。)、メインギターを一度プロの目で見て、調整具合のアドバイスが欲しかったのです。

自分の演奏スタイル、演奏する音楽、調整方法を一通り話してから、西村氏にギターをみてもらう。ともかく、いろいろなことを西村氏が解説してくれる。口調は、上から目線でなく、かといってお客様お客様というセールスマン口調でもなく、淡々とギターの話をしてくれる。私もかなりギターはいじっている方なので、話しているうちに、結構ギター好きな人間だというのが伝わったらしく、段々話が専門的になってきました。

「ネックは自分で調整してますか?」
ええ。

「ネックの状態はいいです。まったくそってないですね。持ち込まれるギターのほとんどはネックがそっていて、それが音に悪影響を与えているのでこれは珍しい。調整方法は正しいです。」
おお、プロにお墨付きをもらってしまった。
ネックは非常にこだわるところなので、これはよかったな。

「ナットとブリッジの溝が駄目です。手を入れた方がいい。」
きたっ!しかし、溝は自分で手を入れるのはほぼ不可能なので、買ったときのままだ。
もともとに問題があるということか。

「オクターブもそのために2弦があっていない。オクターブは12フレットだけで合えばいいというものでは無いんです。全体にあわせるためには、ナットとブリッジがしっかりしてないと難しい。」
これは気がつかなかった。6弦のうち5本は合っていたようだが。

「フロントPUを上げすぎです。これでは磁力で弦の振動に悪影響がでてきる。」
ここもよく雑誌に載っているけど、、どのくらいの高さがいいのか、正直良くわからなかったところ。

「弦が悪い。」
リペアにもって行くつもりで弦交換してなかったから、死んでいるということか。

「いや、弦の品質が悪い。どこのメーカー?」
一番ポピュラーな D社の弦です。

「それは使わない方がいい。あの弦は使用に耐えない。プロはまず使っていない。」
えっ!えっ?今回、一番のショックがここだった。
いままでずっと使ってきた D社の弦が悪いとすると、世の中の半分くらいのギターはどうなるの?
ここから弦談義が始まった。自分も驚いてかなり突っ込んだので、20分近く話していたかも。

「昔はもっとまともに作っていたのに、巻き弦の製造コストを下げるための改悪が行われたのが原因。安く市場に供給してシェアを拡大するのが目的で意図的にやったこと。だから D社の弦は、他社より2~3割安いでしょ。そのおかげでシェアは今は圧倒的。」
製造コストをどうやって下げたか、製造工程をどう変えたかも具体的に聞かせてくれました。まさか、こんな具体的な話を作って話すわけもないので本当でしょう。メーカー関係者は皆しっているとも言っていた。よく聞くと、巻き弦に問題が大きいということでした。


2014.7 Everly の Rockers

「ギターの中で一番大切な部品は弦です。ギターは、弦の振動を電気信号に変えて音を出す仕組みなので、弦の振動が綺麗でなければ、これ以降何をやってもいい音になるわけがない。」
確かに。車で言えばタイヤみたいなものか。

「うちではいろいろな弦を試して、今はこの弦が一番いいということで推薦してます。」
と、Everly の Rockersという見たことも聞いたことも無い弦を出されました。もしかして1セット2千円とか?と思って聞くと600円だとか。値段的には普通だ。割引提供と言われたけど、そもそもお店で見たこと無いし。

「1フレットだけが高い。ナットの溝に手を入れると、1フレットだけは手を入れなくてはならない。」
弦の話でボーゼンとしていた私に、最後の追い討ち。もしかして製造不良?

「いえ、これは量産するための工程でどうしてもこうなってしまう。これを避けるためには、手作業的な工程を1つ入れなくてはいけない。最近の日本製の高価なギターは、手作業的工程を入れているものもあるけど、ギブソン、フェンダーなどの大量生産のものは、皆こうなっています。」
ここも、どうして量産タイプはこういう問題が起きるのか、また具体的に話してくれた。

ここまでで診断終わり。既に入店してから1時間以上が経過。ともかく、ひたすら色々なことを解説してくれる。知っていたこともあったけど、実際のギターや弦の製造の話し、メーカーの商品戦略の話などは非常に興味深かった。

で、料金の提示。このお店には料金表がないので、ちょっとビビッていたのが事実でした。
「ナット、ブリッジ、1フレットを手を入れてから、各所調整で6200円。弦交換は600円。それに消費税です。フレットすり合わせどうしてもやりたいのなら1万6千円位だけど、音に影響ないというなら必要ないと思いますよ。どうしますか?」

正直、6200円が高いのか安いのかよくわからなかった。しかし、ここまで1時間話してもらった内容はウソではないと思ったし。買ったギターは必ずプロの手で調整してもらうという話も、セミプロの方から聞いたこともある。もともとそれが目的だったし思い切ってやってもらおうか。たとえ自分に音が聞き分けられなくても、これも勉強だ。7000円ならギター談義をしながら、食べて飲むのと同じくらいだし。(少し高いか。)

では、よろしくお願いします!
(続く)

2013.8 Vivid Summer Flowers


Comments
 
私の記憶で、別人でなければ西村さんは私のシェクターのピート・タウンゼントモデルのネックを交換してくれた方です。

もう何十年も前の話です。私が24才の時だったと思います。
西村さんは当時はプロミュージシャン顔とリペアマンの顔両方をを持っていたはずです。私は彼のバンドのキーボードの方に西村さんを紹介して頂いたのです。

後ろ姿も私の記憶と一致していますので、ほぼ間違えは無いと思います。当時から西村さんのリペアマンの腕は確かでしたね。
私にバーズアイがバリバリのネックを勧めて頂き、即交換したのです。私の先輩ギタリストも長年彼の組んだテレキャスをメインで使っていましたね。

当時はお店というより倉庫みたいな所で、リペアーをしていました・・・懐かしいですね。

晩年の松原正樹さん専属のリペアマンとして、活躍したと聞いています。腕は超一流だと思います。よい所でリペアーなされましたね。

ブログの方は誠に勝手ではありますが・・・私の方はリンクさせて頂きました。これからも宜しくお願いします。
 Les Paul L-5さん
Les Paul L-5さん、コメント、それも過去記事へのコメントありがとうございます。
この世界で昔から活躍していた話しも聞きましたから、間違いなくLes Paul L-5さんいわれるところの西村さんだと思います。
調整してもらったレスポールは非常に調子がよく、プロの人が、ギターを買うとまずリペアーで調整してもらうというのはこういうことだったのだ、と納得次第です。

私の方も、さっそくリンクさせて頂きました。
これからも、遊びに来て下さい。

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