- Date: Wed 22 03 2023
- Category: Songs4
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Do You Know The Way To San Jose(1968)by Burt Bacharach 伝説へ/Coverしてみた
2023年2月8日、偉大な作曲家 Burt Bacharach がLAの自宅で死去。94歳。
ついに、バカラックが伝説になってしまった。
自分の音楽歴のスタートはビートルズからだと思っています。最初に聞いたのは小6だったかな。
でもよくよく振り返るとそれ以前にも音楽を聞いていた。両親は、音楽好きだったわけではないですが、映画はとても好きだった。うちにあったステレオ(すべてが一体となった小さな箪笥みたいなもの)の上には、いつも何枚かのレコードが乗っていて、それらはすべて映画音楽。洋楽の音楽番組など無かった時代、洋楽を聞くのは映画を通してのみという時代だったのでしょう。
10歳になるかならないかの頃から一人で聞いていました。「雨にぬれても」とか「恋の面影」のドーナッツ盤があったような気がします。この時はまだ Burt Bacharach なんて知らなかった。
再会したのは中2。カーペンタ―ズを好きな親友の家でLPを聞いていると、「このLPもいいよ」とかけてくれたのが Burt Bacharach のベスト盤。当然、カーペンターズで聞いていた曲が次から次へと出てくる。本当は、順序が逆ですが。
中坊の頃、いい曲というのは誰が歌っているか以上に、誰が作曲しているのかということが重要だということを知った。いいなと思った曲は Burt Bacharach が書いた曲がとても多いことも。音楽歴でビートルズ体験が「1」だとすれば、この原体験は「0」だったと思います。
カバー曲「Do You Know The Way To San Jose」を聞きながらお読みください。
EP Solo :Akissh (Roland FA-06)
Guitar Solo:Akissh (Gibson Les Paul Studio)
Drum,Bass,EP Backing:BIAB
Photo : Atami 2023.3
Arranged : Akissh
Composed : Burt Bacharach - Hal David
Burt Bacharach というと、アメリカポピュラー界の頂点に何十年も君臨していた人とほとんどの人は思っているでしょう、自分も含め。でも、50年代は不遇だったらしく、ブレイクしたのは60年代に入ってから、つまり彼が30代も半ばになってからなんですね。確かに、最初に見たLPのジャケットは、既にいい歳の紳士だった記憶があります。
ブレイクのきっかけは作詞家 Hal David とのコンビで作った一連の名曲。作詞作曲コンビの頂点である「レノン - マッカートニー」が、唯一、頭が上がらないコンビが「バカラック - デビッド」のコンビだと思っています。
作曲だけでなくアレンジやプロデューサーとしても超一流で、自分の曲を最高に歌いあげてくれるボーカリストとして選んだのが Dionne Warwick。バカラックの場合、カバー、セルフカバーが多すぎて、どれがオリジナルなのか中々わからないのですが、ボーカルバージョンのオリジナルは、ほぼ Dionne Warwickが歌っているものと考えていいようです。
Dionne Warwickは見た目は普通の(?)黒人女性ボーカリストですが、譜面と楽器に強くバカラックに非常に気に入られ、長く一緒に活動を続けました。ちなみに、Dionne Warwickは、Whitney Houston(ホイットニー・ヒューストン)の従姉妹です。
そして、もう一人、バカラックが目を付けたのが、Karen Carpenter。
無名時代のカーペンターズの最初のNo.1ヒットが Close to Youだったのは余りにも有名。70年代初頭のカーペンターズのライブは、持ち歌が少なかったので、バカラックの曲を兄のリチャードがアレンジして、メインのメドレーとしていました。(2ndアルバムに収録)
5:20より Do You Know The Way To San Jose
初期カーペンターズの雰囲気が色濃く出ている、バカラックメドレーを聞いて下さい。1:00からの畳みかけるようなメドレー。今はいくつものバージョンが聞けますが、この「Walter Reed Medical Center Nov. 8 1970」が一番好きです。ベトナム帰還兵のリハビリ病院でのライブというのが時代を感じます。
演奏もともかく、Richard Carpenter のコーラスアレンジが本当に素晴らしい。ポピュラーのアレンジャーとしては、Richard Carpenter は3本指に入る大好きな人です。
バカラックの名曲群の中から10曲を選んでみました。中々絞り切れないのはビートルズ並みで、すべてが珠玉の名曲。1曲でも知らない曲があれば是非YouTubeで聞いて下さい。曲名は知らなくても間違いなくどこかで耳にしているはずです。
Walk on By (1964)Hal David
What the World Needs Now Is Love(1965)Hal David
ALFIE (1966)Hal David
The Look of Love(1967)Hal David
Do You Know The Way To San Jose(1968)Hal David
I Say a Little Prayer(1968)Hal David
I'll Never Fall in Love Again (1968)Hal David
Knowing When to Leave(1968)Hal David
Raindrops Keep Fallin' on My Head(1969)Hal David
Close to You(1970)Hal David
※Hal Davidに敬意を表し、彼との共作にはクレジットを入れたのですが、調べたら10作ともコンビでの共作でした。まさに黄金の60年代です。

バカラックの追悼で1曲カバーしてみました。
絶対に明るい曲がいいと思い選んだのが「Do You Know The Way To San Jose」。
曲調は軽いボサノバですが、歌詞は、若い女の子が、大都会L.A.で夢やぶれて、失意の中、サンフランシスコ湾南の故郷サンホセへ帰る、という少しビターな曲。ミュージシャンか絵描き志望か、それともダンサーか。日本もアメリカも変わらない青春風景。
オリジナルのDionne Warwick版とテーマは同じ、インタールードとコーダを少しアレンジしています。ボーカルをギターに置き換えただけだと寂しいので、4管編成(Tp. Flug. Sax Tb.)を加えてみました。この編成はBS&T黄金期と同じですが、バカラックの曲にジャズっぽいのは似合わないだろうということで、初期シカゴのイメージで管アレンジしてみました。
94歳の大往生、寂しいというより一緒の時代を生きられてありがとうございます、と言いたい。
R.I.P. Burt Bacharach
[追記]
以前、Burt Bacharachの名曲「The Look Of Love」をカバーしていたのでリンクを貼っておきます。
風変わりなアレンジでBurt Bacharachらしさのかけらもありませんが。
[追記2]
Burt Bacharachの曲は、映画のサントラとして作られたものも多い。この辺り、本ブログリンクにある「まいにちポップス(My Niche Pops)」(KatsumiHori作)に詳しい。このブログは洋楽曲を中心に造詣の深い記事が豊富で、山下達郎のサンデー・ソングブックに肩を並べる程のものです。
曲だけでなく、アレンジやレコーディングに関しても非常に詳しい。なぜ、こんなに詳しい?ただものではない?と思ったら、堀様は大手から独立されてVOZ Recordsというレコードレーベルを経営されている方でした。興味ある方は、上記ブログの「「遙かなる影((They Long to Be)Close to You)カーペンターズ(1970)」だけでいいのでお読み下さい。
ついに、バカラックが伝説になってしまった。
自分の音楽歴のスタートはビートルズからだと思っています。最初に聞いたのは小6だったかな。
でもよくよく振り返るとそれ以前にも音楽を聞いていた。両親は、音楽好きだったわけではないですが、映画はとても好きだった。うちにあったステレオ(すべてが一体となった小さな箪笥みたいなもの)の上には、いつも何枚かのレコードが乗っていて、それらはすべて映画音楽。洋楽の音楽番組など無かった時代、洋楽を聞くのは映画を通してのみという時代だったのでしょう。
10歳になるかならないかの頃から一人で聞いていました。「雨にぬれても」とか「恋の面影」のドーナッツ盤があったような気がします。この時はまだ Burt Bacharach なんて知らなかった。
再会したのは中2。カーペンタ―ズを好きな親友の家でLPを聞いていると、「このLPもいいよ」とかけてくれたのが Burt Bacharach のベスト盤。当然、カーペンターズで聞いていた曲が次から次へと出てくる。本当は、順序が逆ですが。
中坊の頃、いい曲というのは誰が歌っているか以上に、誰が作曲しているのかということが重要だということを知った。いいなと思った曲は Burt Bacharach が書いた曲がとても多いことも。音楽歴でビートルズ体験が「1」だとすれば、この原体験は「0」だったと思います。
カバー曲「Do You Know The Way To San Jose」を聞きながらお読みください。
EP Solo :Akissh (Roland FA-06)
Guitar Solo:Akissh (Gibson Les Paul Studio)
Drum,Bass,EP Backing:BIAB
Photo : Atami 2023.3
Arranged : Akissh
Composed : Burt Bacharach - Hal David
Burt Bacharach というと、アメリカポピュラー界の頂点に何十年も君臨していた人とほとんどの人は思っているでしょう、自分も含め。でも、50年代は不遇だったらしく、ブレイクしたのは60年代に入ってから、つまり彼が30代も半ばになってからなんですね。確かに、最初に見たLPのジャケットは、既にいい歳の紳士だった記憶があります。
ブレイクのきっかけは作詞家 Hal David とのコンビで作った一連の名曲。作詞作曲コンビの頂点である「レノン - マッカートニー」が、唯一、頭が上がらないコンビが「バカラック - デビッド」のコンビだと思っています。
作曲だけでなくアレンジやプロデューサーとしても超一流で、自分の曲を最高に歌いあげてくれるボーカリストとして選んだのが Dionne Warwick。バカラックの場合、カバー、セルフカバーが多すぎて、どれがオリジナルなのか中々わからないのですが、ボーカルバージョンのオリジナルは、ほぼ Dionne Warwickが歌っているものと考えていいようです。
Dionne Warwickは見た目は普通の(?)黒人女性ボーカリストですが、譜面と楽器に強くバカラックに非常に気に入られ、長く一緒に活動を続けました。ちなみに、Dionne Warwickは、Whitney Houston(ホイットニー・ヒューストン)の従姉妹です。
そして、もう一人、バカラックが目を付けたのが、Karen Carpenter。
無名時代のカーペンターズの最初のNo.1ヒットが Close to Youだったのは余りにも有名。70年代初頭のカーペンターズのライブは、持ち歌が少なかったので、バカラックの曲を兄のリチャードがアレンジして、メインのメドレーとしていました。(2ndアルバムに収録)
5:20より Do You Know The Way To San Jose
初期カーペンターズの雰囲気が色濃く出ている、バカラックメドレーを聞いて下さい。1:00からの畳みかけるようなメドレー。今はいくつものバージョンが聞けますが、この「Walter Reed Medical Center Nov. 8 1970」が一番好きです。ベトナム帰還兵のリハビリ病院でのライブというのが時代を感じます。
演奏もともかく、Richard Carpenter のコーラスアレンジが本当に素晴らしい。ポピュラーのアレンジャーとしては、Richard Carpenter は3本指に入る大好きな人です。
バカラックの名曲群の中から10曲を選んでみました。中々絞り切れないのはビートルズ並みで、すべてが珠玉の名曲。1曲でも知らない曲があれば是非YouTubeで聞いて下さい。曲名は知らなくても間違いなくどこかで耳にしているはずです。
Walk on By (1964)Hal David
What the World Needs Now Is Love(1965)Hal David
ALFIE (1966)Hal David
The Look of Love(1967)Hal David
Do You Know The Way To San Jose(1968)Hal David
I Say a Little Prayer(1968)Hal David
I'll Never Fall in Love Again (1968)Hal David
Knowing When to Leave(1968)Hal David
Raindrops Keep Fallin' on My Head(1969)Hal David
Close to You(1970)Hal David
※Hal Davidに敬意を表し、彼との共作にはクレジットを入れたのですが、調べたら10作ともコンビでの共作でした。まさに黄金の60年代です。

バカラックの追悼で1曲カバーしてみました。
絶対に明るい曲がいいと思い選んだのが「Do You Know The Way To San Jose」。
曲調は軽いボサノバですが、歌詞は、若い女の子が、大都会L.A.で夢やぶれて、失意の中、サンフランシスコ湾南の故郷サンホセへ帰る、という少しビターな曲。ミュージシャンか絵描き志望か、それともダンサーか。日本もアメリカも変わらない青春風景。
オリジナルのDionne Warwick版とテーマは同じ、インタールードとコーダを少しアレンジしています。ボーカルをギターに置き換えただけだと寂しいので、4管編成(Tp. Flug. Sax Tb.)を加えてみました。この編成はBS&T黄金期と同じですが、バカラックの曲にジャズっぽいのは似合わないだろうということで、初期シカゴのイメージで管アレンジしてみました。
94歳の大往生、寂しいというより一緒の時代を生きられてありがとうございます、と言いたい。
R.I.P. Burt Bacharach
[追記]
以前、Burt Bacharachの名曲「The Look Of Love」をカバーしていたのでリンクを貼っておきます。
風変わりなアレンジでBurt Bacharachらしさのかけらもありませんが。
[追記2]
Burt Bacharachの曲は、映画のサントラとして作られたものも多い。この辺り、本ブログリンクにある「まいにちポップス(My Niche Pops)」(KatsumiHori作)に詳しい。このブログは洋楽曲を中心に造詣の深い記事が豊富で、山下達郎のサンデー・ソングブックに肩を並べる程のものです。
曲だけでなく、アレンジやレコーディングに関しても非常に詳しい。なぜ、こんなに詳しい?ただものではない?と思ったら、堀様は大手から独立されてVOZ Recordsというレコードレーベルを経営されている方でした。興味ある方は、上記ブログの「「遙かなる影((They Long to Be)Close to You)カーペンターズ(1970)」だけでいいのでお読み下さい。
カーペンターズ特集のラジオで、「遥かなる影」をバカラックから提供してもらうエピソードを知ったり、「雨にぬれても」のような映画音楽でもヒットメーカーで、初期のビートルズもカバーしていたと知りました。
「サンホセへの道」などはディオンヌ・ワーウィックがオリジナルというのは、CDの時代になって洋楽ヒット曲集で知りましたが、AKISSHさんのカバーは、そのお馴染みのイントロに近くてニンマリしますし、シカゴ風のホーンセクションもすごく良い感じです。